CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

小説

流れる

この季節になると、より一層いいですよね。 幸田文さんは断筆宣言をして置屋に住み込みで働き、その経験を元に『流れる』を書いたらしい。そのせいか、芸者の日常の描き方がとても細かくて愛情を感じる。 彼女の観察眼が素晴らしくて、「あんた色が白いねえ…

蝉しぐれ

下級武士の養子である主人公は、藩内の政争により父を失う。反逆者として切腹を命じられた父に対して、最後の面会で言えなかった言葉を後悔する場面は何とも胸をしめつける。「人間は後悔するように出来ている」という友人の言葉…この状況は『後悔』が取り返…

わたしを離さないで

カズオ・イシグロという名前をはじめて見たとき、スガシカオみたいなものかな、と思っていたのだけど、日本出身のイギリス人作家なんですね。その出自のおかげか、彼の作品に登場する日本(たとえば『浮世の画家』)は西洋的な視線で異国情緒を持って描かれ…

黒後家蜘蛛の会

アイザック・アシモフと言えば、”I, Robot"(『われはロボット』)に書かれたロボット3原則(人間への安全性、命令への服従、自己防衛)は小説を読んだことがなくても知っているくらいのSF作家。そして、『アシモフの雑学コレクション 』なる書籍が登場する…

テロル

打ちのめされるようなすごい本、という言葉がすぐに浮かんだ一冊。打ちのめされました。 妻を自爆テロの加害者として失ったアラブ人医師の物語。彼はその理由を知るために妻の足跡を追う。 最初は妻が前触れもなく自爆テロ、というあらすじ紹介を読んで、強…