CoffeeAndBooks's 読書日記

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プラハの憂鬱

仕事柄、アメリカとアジア事情はそれなりに知識を蓄えつつあると自負しているものの、ヨーロッパについてはほとんど知らないことばかり。

この週末は佐藤優氏の語学研修生時代を振り返った二冊を読了。亡命東欧知識人に関する「プラハの憂鬱」と英国の階層社会に関する「紳士協定」。

亡命チェコ人(それもインテリジェンスの仕事をしていたのでは、と言われている元BBC勤務)とロシア語専門の外交官の神学研究をはさんだ交流も劇的であるけれど、そんな二人が10年そこらでソ連がなくなるとは思っていなかったこと、東西対立はもっと長期にわたると思われていたことに今となっては驚く。ベルリンの壁が崩壊した頃に漸く物心が付いた私には当時の空気など想像もできないから。

「紳士協定」に描かれた英国社会は、同時期の話であるけれども、少しだけなじみやすかった。断片的な英国知識と一致する部分も多いので、今もそれほど変化がないのかもしれない。階級の移動に制約のある社会の中で、実際に階級を移動した著者の同僚と階級の移動に悩むホームステイ先の少年が描かれている。どちらの選択をしても、一抹の寂しさが残ってしまうところが少し悲しい。

 

プラハの憂鬱

プラハの憂鬱

 
紳士協定: 私のイギリス物語 (新潮文庫)

紳士協定: 私のイギリス物語 (新潮文庫)