追憶の森/THE SEA OF TREES
アメリカにも静かな佳作はたくさんあるけれど、この映画はやっぱり渡辺謙が語るように、アメリカ人もこんな映画を撮るんだ、という驚きを得た。
日本の自殺の名所(映画に倣い"the perfect place to die"と検索したら本当に青木が原が出てきて驚く)を舞台に、傷心のアメリカ人男性アーサーと不思議な日本人男性タクミが出会い、ゆっくりと打ち解ける。渡辺謙のドキュメンタリーで「妻の名前はキイロ、娘の名前はフユ」と語っていて、タクミが日本人話者には何か不思議な存在であることは予想が付くし、暗示する内容も最後のシーンを待つことなく理解できる。代わりに早くアーサーに教えてあげたいという気持ちになってしまい、それはそれでやきもきする。しかし、最後のシーンはそれでも感動的だった。樹海は煉獄だと言うけれど、死んだ魂が許されるだけの場でないと思わされた。
それから、少しだけTVで放映されていた「王様と私(「王様と私」オリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤)」の堂々たる王様の姿から、少し曖昧な存在感のタクミの姿までの変化は、俳優ってすごいなと思ってしまう。そして、渡辺謙の成人してから学習したとは思えない英語力。ネイティブ並みとはいかないまでも、非常に正しい発音がされていて、とても聞き取りやすい英語を話す。さすが、日本人初のトニー賞主演男優賞にノミネート。
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青木ケ原樹海を科学する―自殺するには根拠(ワケ)がある (ちょっとミステリー)
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