CoffeeAndBooks's 読書日記

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善悪の屑

 最近、スマホからウェブ閲覧をしていると、漫画の広告が多く出て、ついつい買ってしまう。こちらも漫画サイトからKindleまで色々な経由で読めるシリーズ。

 基本的には実話を下敷きにしたと思われる、残虐だったり卑劣だったりする犯罪の被害者又はその遺族・関係者の依頼により、加害者に復讐を代行する二人組みの男性が主人公となる復讐が基本的には一話完結で続く。ただ、人間関係は一話完結でなくて、仲間が増えたりもする。

 物語全体としては、勧善懲悪にすっきりするという感想もあるかもしれないけれど、個人的には救いのなさに暗い気持ちになる話が多い。加害者が制裁を受けても被害者にとって良いことは起きないし、更生も赦しもない。ただ、同じ人物の手による被害者が増えなくなるだけのことだ。しかし、残虐な事件を見ると加害者を同じ目に、と思ったことがあるのも事実で、それをフィクションの世界では実現できることに価値を感じる読者もいるかもしれない。平野啓一郎の「決壊」に対する感想の中に、犯罪の当事者や遺族の代わりに犯人を赦すことはできないけれど、当事者や遺族に代わって犯人を赦さないことは可能か、という問いかけを見たときに、頭に浮かんだのはこの漫画の主人公だった。個人的に、第三者に「赦さない」権利(という言い方がよいのかわからないけれど)はない一方で、「赦さない」という感情が多くの人には残るのではないかと思った。