CoffeeAndBooks's 読書日記

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学歴の耐えられない軽さ

 一見もっともらしい巷の常識的な見解に対して、丁寧に反証データを提示していくスタイルは著者がモデルになったエンゼルバンクと同様。著者によればルックス以外は比較的そのままとのこと。

  本書では「学歴の」とタイトルにあるだけあって、まずは大学生の質の低下を嘆くコメントから、それに対して大学がどのように変質しているかを明らかにしていくことからはじまる。AO入試や推薦入試の弊害や一般入試を経る学生の数が変わる結果として偏差値に影響があることは何となく知られている部分もあるけれど、実際に4割しか通常の(と私が考えている)入試を経ていない学生で占められている有名大学というのは、あらためてデータで示されると複雑な気持ちになる。 

学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識

学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識

 

  また、就職活動における学歴の見方について、採用にかけられるリソースとの関係でどうしても雑なふるいにかけるしかなく学力を身に着けなかった新人を採用してしまう現実や人気ランキングに踊らされる企業とイメージで就職してしまう学生というエピソードも身につまされる。外資系企業で働きつづけ、知名度が低いせいで新卒採用には苦労しているので。もちろん、我々もグローバルの人気ランキングを引っ張ってきて一部の学生を引き付けようと努力はするけれど。ちなみに、著者の押す就職活動の早期化には私も賛成。というか、外資系の企業は経団連の取り決めにしばられないので、3年生の冬には内定を出し始めている。後ろ倒しにして4年の前期を就職活動に使われるよりも、大学がクローズされている1月~3月に就職活動をして4年生は勉強を頑張ってもらうのは理に適っているのではないだろうか。個人的には、就職活動を通じて「XXの勉強を学生のうちにしておこう」と思うことも多いと思うので、遊び続けた学生も最後に勉強をしてから社会に出てくれるかもしれないという期待もしている。

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書)

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