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CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

マチネの終わりに

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」

 この文章に出会えたことは幸せなことだと思う。良い意味でも悪い意味でも、後から起こることが過去に影響を与えて過去に対する人の感情を変えていく。今まで、こんな風に考えたことがなかったので、この文章だけでも読んで良かったと思う小説。

 

 本作は、30代後半の天才ギタリストと2歳年上のジャーナリストが主人公。似たような感受性を持った二人が惹かれあうものの、アクシデントによってうまくいかない関係が主軸。そして、二人の関係性だけでなく、芸術家のスランプや戦地取材によるPTSD、家族の関係など、個人が持つ問題や世界で共有されている課題についても多くのことが描かれていて、それぞれについても色々と考えさせられる。

 二人の関係性については、実際に40歳前の男性と40歳の女性なので大人なのだけど、大人の対応をしてしまい過ぎるところがもどかしいけど、とても共感する。主人公を好きな脇役が細工をして、というのは映画や小説でもよくある障害だけど、「恋の仕方を忘れた大人たちに贈る」と紹介文にあったように大人になると障害の難易度も高くなるような気はする。そして、互いを理解し合い魅力を感じる要素は、ボタンの掛け違えのような誤解を解いて軌道修正できないような抑制にもなってしまったように感じた。そうやって、うまく成立しない関係というのは恋愛以外でもたくさんありそう。でも、過去は未来が変えられると思えば、最後の主人公の選択はとても素敵に感じられた。

 

マチネの終わりに

マチネの終わりに

 

 

 作中に登場するギター曲のCDも。

マチネの終わりに

マチネの終わりに

 

 

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