CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

GATTACA/ガタカ

 古い映画になってしまったけれど、未だに時々観てしまう。

 遺伝子操作によって、親の(社会の)意向に沿った子供が生まれるようになった未来の話。この世界では、自然に妊娠して生まれた人間は「不適正者」として扱われる。何の操作も加えられていない人間は、知能や運動能力で劣り、差別され、職業の選択においても完全に分離されている。そんな中、主人公のヴィンセントは「不適正者」として生まれるけれど、宇宙飛行士という夢を持っている。しかし、宇宙飛行士は「適正者」向けの職業で、この世界ではヴィンセントが就くことのできない職業だ。

 だけど、ヴィンセントは職業に就くため、そしてその後の身分照会に必要な遺伝子情報の提供者を手に入れ、宇宙飛行士を目指す。遺伝子情報の提供者ジェロームは、スポーツ選手として極めて優れた人間であるものの、車いすの生活を送っている。彼らは遺伝子情報の提供を通じて、友情も育む。最終的にヴィンセントは夢をかなえ、ジェロームは残念なお別れになるけれど、レストランで宇宙には何があるかという話をしたときに、『何もないかもしれない』というジェロームと『何かるはずだ』と答えるヴィンセントの会話が二人の人生に対する態度を象徴していて、結末につながっているように感じた。ヴィンセントは、とにかく夢を叶えるために必死になれるし、「適正者」である弟に体力勝負を挑んで気力で勝ったりもする。ジェロームは、優れた能力をもって生まれても、それを活かすことができなくなり、絶望したままになっている。実際にヴィンセントのような生き方や姿勢を持ち続けることは難しいし、前向きな気持ちを持つことが大切と簡単に結論付けることはできないけれど、ワイングラスの煙を吹く気持ちは持っていたいと思う。