騙されてたまるか 調査報道の裏側
足利事件、桶川ストーカー事件で真実に向かい合ってきたジャーナリストが、調査報道について語る。他の著書のサマリーのような一冊でもあるけれど、だからこそ調査報道とは、という部分にフォーカスできているように思う。どの案件でも、リスクを取りながら取材を行い、真実に迫る。その中で思い込みは持たず、すべての情報は裏を確認する。別の媒体でも『消極証拠を見逃さないための白くする取材』の重要性が語られているけれど、やっぱり『ここまでやったから言える』と自信を持てる状況にしないと、日本テレビや文春のような大きな看板を守りつつ衝撃的な情報を継続的に発信することはできないのだろう。
そして、最期のまとめにあった『100取材して10を書け。10しかわからなければ1しか書くな』という言葉は、とても印象に残った。私も報道ではないけれど、調査に関する仕事に長く関与していて、『1000枚の報告書を作ることは何の価値も生まない。それを10枚に凝縮して初めて価値がある』と尊敬する上司が言い続けるのを見てきた。価値のある情報、意義のある情報の背景には、大量のそれを裏付ける情報が必要になる。時には執念を伴うような調査が必要。
権力に迫る「調査報道」 原発事故、パナマ文書、日米安保をどう報じたか
- 作者: 高田昌幸,大西祐資,松島佳子
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2016/11/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る