CoffeeAndBooks's 読書日記

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具体と抽象

 部下がもう少し考えてくれたら、というのは多くの管理職の共通の悩みだと思う。一を聞いて十を知ってほしいというのが高望みだとしても、せめて同じような説明を何度も繰り返したくないと思ってしまう。バックグラウンド(学歴、職歴、経験)によらず、最初から要領よく色々なことが吸収できる人がいる一方で、いつも懇切丁寧な説明をしなければ動けない人がいる。本書を読むと、この違いが腑に落ちる。なぜ、上司と部下の会話がかみ合わないかというと、見えている世界が違いすぎるからだ。見えている世界の抽象度が異なると、上司はいつも言うことが変わっているように見えるかもしれないし、部下は表層的なことしか考えられていないように見えるかもしれない。

 歩み寄るために、具体的な会話に翻訳したり、相手の考え方を推測して合わせることがとりあえずの解決策のようだ。具体的な世界しか見えない人が抽象的な世界を見えるようになるためのトレーニング的な解もあると、私も上司の目線を理解できるようになるかもしれないし、部下たちも悩みが減るような一冊になりそうだけど、そこまでは示されない。かみ合わないもやもやの正体が見えてくるという意味では有用なので、部下への指導や指示に悩みを持つ中間管理職は読んでみるべき一冊だと思う。

具体と抽象

具体と抽象

 

  

メタ思考トレーニング (PHPビジネス新書)