CoffeeAndBooks's 読書日記

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独立記念日

 短編集。ある短編の登場人物が次の短編の主人公になる構成。そして最後は、最初の短編の主人公のその後、という面白い構成。

 シチュエーションは様々だけど、基本的にはコンプレックスや悩み・仕事の躓きといったものを主人公が克服していくもので、前向きな再スタートが描かれている。そして、いつものごとく嫌な人が出てこない。いじめのあった学校で担任のせいにして責任逃れをしようとする同僚教師やちょっとした不注意からスキャンダルに見舞われたキャスターに背を向ける同僚など、嫌な人たちは存在しているのだけど、そんなものに頓着しなくても、人は前を向いて歩いていけるし、生きていける。そう思うと、とても素敵だ。

 一番好きなのは、『誕生日の夜』。幼馴染からの友情の複雑さを乗り越えて、やっぱり友達っていいなと思わせる。疲れていたり、自分が追い込まれていると、何とかして奮い立たせようとするけど、ついついマウンティングしてしまうということは、男性も女性もあると思う。でも、ニュートラルに頼ってしまったと反省できるのかというと難しく、それができるのは長い友情、途中で格差を感じたにしても元は対等に遊んだ過去があるおかげなんじゃないかと思う。

独立記念日 (PHP文芸文庫)

独立記念日 (PHP文芸文庫)

 
ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)