CoffeeAndBooks's 読書日記

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だから、また行きたくなる。――伝説の外資系トップ営業が教える「選ばれるサービス」の本質

 はじめて川田修さんの著書に触れたのは、「かばんはハンカチの上に置きなさい」というもので、タイトルになっている教えはお客さまのお宅にお邪魔した際の心遣いを説くものだった。地面に直置きするかばんを訪ねたお宅の部屋の床に置かず、一枚ハンカチを敷く心配りは、言われてみるとはっとするけれど、なかなか思いつかない。そんな気配り名人の著者が、これまでに感動したサービスについて紹介する一冊は、言われてみると/接してみると感動すること想像に難くない一方で、なかなか思いつかない「ちょっとした」サービスばかり。いわゆるサービス業に従事するひとだけでなく、すべての社会生活を営む人に参考になる一冊だと思う。

 レベル11、という考え方が紹介されていて、サービスの期待値の最高が10とすると、それを超えるものがレベル11、感動を与えるものと定義されている。そして、このレベル11を体験した瞬間を並べられて気付くのが、レベル10からレベル11に移行するのには、実はたいした手間がかかっていないということ。そして、ほとんどコストはかかっていない。ただ、お客様のことを考える、接客に真剣に取り組む、それだけで実践できることで達成できる。

 そういえば、「かばんはハンカチの上に置きなさい」をはじめ、著者がこれまで伝えてきたことは、ほとんどがそれだなと思う。かばんを置くためのハンカチ一枚買うのも、「2分遅れます」と電話するのも、ほんの一瞬でできることだし、大したコストはない(ハンカチなんて貰い物もあるし、社用携帯があれば電話代もかからない)。でも、相手のことを考えて誠実にあろうとする姿勢がないとできないし、逆にできると多大な感動が与えられる。

 本書で紹介される事例は、同じ業態でなければそのまま真似られる心配りだけではないけれど、こんな視点で日々の生活をすれば、これだけのサンプルを集められるのだ、という勉強になる。

  

かばんはハンカチの上に置きなさい―トップ営業がやっている小さなルール

かばんはハンカチの上に置きなさい―トップ営業がやっている小さなルール