CoffeeAndBooks's 読書日記

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封印された日本の秘境

 手つかずの原生林や樹海も良いけれど、個人的に惹かれるのはやっぱり廃駅や遺構。最盛期は国内シェアの3割を占めたという別子銅山や炭鉱開発で今から100年前に高層ビルが建てられていた離島・軍艦島は、もののあはれというか、諸行無常というか、不思議な感慨が全盛期を知らない人間にも迫ってくる感じがして、魅力的。

 しかし、秘境というだけあって、基本的に紹介される土地は便利の良い土地ではないので、自分が探訪するためのガイドというよりは、行ったつもり読書で終わるかもしれない。特に、軍艦島はこっそりボートに乗せてもらわなければ行けない様子。そして、いくつかの秘境は、体力と運動能力に自信がないと厳しいかもしれない。絶壁の鎖場なんて私には少なくとも無理(本書でも撤退する勇気を見せている個所がある)。

 そんな行ったつもり読書にも耐えられる豊富な写真と、臨場感ある描写が素晴らしい。どうも著者は本業が著述業ではないようだけれども、非常に読みやすく、引き込まれる文章。そして、同行者もなかなか良い味をだしていて、物件紹介ではなく、旅行記的に楽しめる。

封印された日本の秘境

封印された日本の秘境

 
封印された日本の地下世界

封印された日本の地下世界