CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

 ヴィレッジヴァンガードが最高に面白い場所だった頃、そこで働いていた作者。別居から離婚という私生活の転機に、仕事においても会社の体制や雰囲気が変わったことで新しい道を考え始める。そんな時期に、出会い系サイト(といっても男女の出会いというよりは人脈づくりだったり、最近はネットワークビジネスの温床という話も聞くようなサイトらしい)で、出会った人たちに本を進める修行をすることになった経験が綴られる。なかなか勇気のいる行動だが、

 この活動を通じて作者が手に入れる人間関係や生活上の変化は、ずっと家に引きこもっていて手に入るものではないなと思う。そして、活動の初期は女性と出会いたい、という目的が前面の男性が多く、彼らはそれほど本を読んでいない様子で、勧める本を考えることもそれほど難しくはなさそうだったけれど、本を好きな人、読んでいる人に対する機会が出てきてだんだんと難易度が上がっていくさまも面白い。構成上の工夫なのかもしれないけれど、回を追うごとに難易度が上がっていくと、修行、という感じが強く感じられて。特に、新潟から来た女性に3冊の本を勧める回は圧巻。本のあらすじを覚えるだけでこの紹介はできない。有名どころの作家からサブカル色の強い作家まで、のラインナップはヴィレッジヴァンガードで過去に私が出会った面白かった本との出会いを思い出す。