CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

Kaymak/カイマック

www.hollywoodreporter.com 東京国際映画祭に出展されたマケドニア人監督による『カイマック』。ミルチョ・マンチェフスキといえば、『Before the rain』『Dust』しか観ていないのだけど、時間の交差する不思議な構成が魅力的だった印象と、旧ユーゴ出身とい…

ブエノスアイレス/春光乍洩

20数年経って再会した映画。4Kリマスターによって美しくなった画面、特にファイがボートに乗っているシーンの水面の美しさに感動。ウォンカーウァイ、クリストファー・ドイル、と言えば映像の美しさとスタイリッシュさ。全体的に薄汚れた感じの風景なのに美…

魂のまなざし/HELENE

フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベック。彼女の人生のうち、忘れられた画家だったシャルフベックが再発見された時期を切り取り、母との関係、彼女の人生に重要な意味を持つ友人たちとの関係が描かれる。美しい挫折と復活の物語。 1862年生まれのシ…

映画を早送りで観る人たち

ニュース番組は私も1.5倍速などにしがちだけど、なぜかドラマや映画に対してはそれができないでいる。しかし、最近は倍速視聴だけでなく、会話のない場面はスキップしたり、事前に仕入れた盛り上がる箇所以外はスキップしたり、という見方があるらしい。 セ…

Maid

大学進学を目指す若いシングルマザー自身による実体験が綴られた一冊。 著者はシングルマザーとして子どもを育てながら大学に進学するため、家政婦を職業とする。カタカナ英語の感覚だとメイド=富裕層の家庭でサーブする女性を想像してしまうけれど、掃除だ…

アウシュヴィッツで君を想う

ユダヤ系オランダ人医師が残したアウシュヴィッツでの経験。あとがきによれば、これは回想ではなく「戦争が終結する前に」「収容所の中で」書かれた文章である。そのため、記録として詳細で、その場その場の会話や感情も含めて伝わるように思う。 作者は妻と…

Flowers for Algernon

野口悠紀雄氏の『「超」英語独学法」で『アルジャーノンに花束を』が元々は短編であったことを知り、また、長編化されたことにより余計なストーリーが混入して密度が低くなったと書かれていたので、”The Science Fiction Hall of Fame, Volume One”に収録さ…

美意識の値段

クリスティーズの日本代表であり、日本古美術の専門家である著者による、美意識と美術品ビジネスに関する四方山話。オークションハウスというビジネスは聞いたことがあっても、富裕層にしか関係のない場所という意識があって足を踏み入れたこともなく、まし…

血も涙もある

正しさを盾に誰かを糾弾する人には絶対にならない山田詠美。今回のテーマは不倫。料理研究家、その夫、そして料理研究家の助手であり夫の不倫相手の3人が交互に語り手となる構成。誰もが事情を持っていて、一方的な悪者はいない、道徳的な倫理で誰かの関係を…

デトロイト美術館の奇跡

つい最近の実話に基づく小説。主な登場人物は3名いて、うち1名のみが実名の実在の人物ロバート・ハドソン・タナヒル。このタナヒル氏は大富豪で近代美術コレクターとして名を馳せ、デトロイト美術館の支援者であり、死後にも大量の美術品を残した人物。そ…

ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある

スーパーマーケットの2階。今の住まいの近くにはあいにくと存在しないけれど、昔の記憶をたどると確かに存在した不思議な空間。子どもの頃に住んでいた地域では、ちょっとかわいらしい文房具とか、カードゲームなんかが売られていた記憶。ということで、ノス…

今につながる日本史

執筆の背景は、BSの番組にてキャスターとしての仕事をするため、『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』の言葉をヒントに効率的な知識や背景の仕入れのため歴史を勉強したことがきっかけとのこと。ということで、各項目は、最近の出来事と歴史上の出来事を…

ミステリと言う勿れ

カレーが大好きで、理屈っぽく少し変わった大学生が主人公。枕の草紙を引用しつつ、カレー日和だとカレーを作り始めるところから第1話開始。最初のうちは1話完結、前後編完結、で閉鎖空間での謎解きとちょっとしたお説教をするだけだったのが、広島に行く頃…

ケーキの切れない非行少年たち

非行少年が普通の人と違う(サイコパス的な)、ということを言う本ではない。医療少年院、女子少年院にて勤務経験を有する精神科医が出会った「反省以前の子ども」たちの実態と、著者による提言。 本書によれば、凶悪犯罪を行った少年の中には、何故そのよう…

コリーニ事件/Der Fall Collini

collini-movie.com ドイツの現役弁護士である作家フェルディナント・フォン・シーラッハが原作の、法と正義のジレンマを扱うリーガルサスペンス。感想にネタバレになってしまう部分があるので、事前の余分な情報なく映画館に向かいたい方はここまで。上映し…

新・トルコで私も考えた2020

おしゃれな雰囲気と少し大人っぽい内容が大好きだった高橋由佳利氏の一人旅から始まる、トルコと日本を行き来する人生が綴られるエッセイ。 掲載開始から四半世紀。最初は旅行者、短期滞在者の視点で描かれていたトルコが、生活者の視点になり、離れて暮らす…

ハニーランド/Honey Land

honeyland.onlyhearts.co.jp 日本では馴染みの薄い国、北マケドニア。少し前まで、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国と名乗っていたが、ギリシャとの国名を巡る争いを避けEU加盟を進めるため国名を変えたと聞く。国名を変え、NATOには加盟したようだ。 そん…

女帝 小池百合子

現職都知事の半生を、都知事に近かった人々からの証言と過去の著書や報道情報を基にまとめた一冊。私が物心ついた頃には既に政治家だった方なので、カイロ留学時代やキャスター時代のエピソード等は非常に興味深い。しかし、著者は何をモチベーションにこの…

フェイクニュース時代を生き抜く データ・リテラシー

元ニューヨーク・タイムズ東京支局長による、フェイクニュースに惑わされず情報を収集、取捨選択するための手法や情報源の紹介。特に日本とアメリカのニュースを主に得る必要のある人には便利な一冊。 本書で紹介されている、エリック・シュミットの言葉で、…

ペイン アンド グローリー/Pain and Glory

仕事に関係のある本のことは書けないので、仕事のインプットが多いと、映画の投稿が多くなってしまう。 コロナでしばらく映画館に行けなかったのは残念だが、Social Distancing推奨下の映画館は座席間隔があけられていて非常に快適。本日は久々のペドロ・ア…

ハリエット/HARRIET

www.youtube.com アメリカ軍で最初の女性指揮官として後世に名を遺すハリエット・タブマン。20ドル札の肖像になることも報じられている。なお、ハリエット・タブマンは黒人解放活動でも活躍し、女性参政権運動でも活躍している。5ドル札と10ドル札も女性参政…

Diet Land

これもまたAmazon primeで。タイトル画でDIET LANDのネオンサインのTだけライトが消えているのが、少し暗示的?Season 1となっているけれど、Season 2は見送られた模様。少し過激すぎたのか、あまり人気が出なかった様子。そのせいで、何となくドラマのメッ…

Home coming/ホームカミング

Amazon prime videoのオリジナルコンテンツ。製薬メーカーにバックアップされているらしい、帰還兵のリハビリ施設が舞台。主人公であるカウンセラー ハイディの数年後と、施設での出来事を行き来する構成だが、物理的な舞台はハイディがカウンセラーとして働…

謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア/恋するソマリア

一気に続けて読んでしまう。『謎の独立国家~』が先で、続編が『恋するソマリア』という時系列はあるけれど、どちらから読んでも楽しめるはず。ただ、やっぱり時系列に並んだほうが読みやすいのは確か。 『謎の独立国家~』を読めば、ソマリランドへの行き方…

愛してるよ、愛してるぜ

山田詠美と阿部譲二と言えば、山田詠美氏がデビューした当時に、恋人との問題を抱えていて対談をキャンセルしたところ、後日、花束と優しいメッセージを届けたエピソードがすぐに思い出される。以来、とても仲の良い様子はエッセイ等からうかがえる。この対…

歴史とは靴である 17歳の特別教室

17歳の特別教室と副題がついてはいるけれど、大人が読んでも面白い。『無私の日本人』『武士の家計簿』など、著書が映画になるような歴史学者を呼んで特別教室とは、ちょっとうらやましいな。この授業を受ける生徒もしっかりしているので、質問がまた興味深…

私にふさわしいホテル

最近、気に入って毎週のように通っている日比谷シャンテ3階の書店HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEにて、『山の上ホテル+帝国ホテル+カンヅメ』と書かれた3題噺の文庫。手に取ってみると、割と好きだけど全作追い切れてはいない柚木麻子氏の未読の一冊。思わず…

ハスラーズ/HUSTLERS

ハスラーズ(字幕版) 発売日: 2020/05/27 メディア: Prime Video 悪い人間が被害にあう犯罪映画は、犯罪者がヒーローになる。本作はジェニファー・ロペスが演じるトップダンサーであるラモーナが、金融危機で景気の悪くなったウォール街の残党を相手に、ぼっ…

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

ヴィレッジヴァンガードが最高に面白い場所だった頃、そこで働いていた作者。別居から離婚という私生活の転機に、仕事においても会社の体制や雰囲気が変わったことで新しい道を考え始める。そんな時期に、出会い系サイト(といっても男女の出会いというより…

この世にたやすい仕事はない

やっぱり時には書店に足を運ばないと、意外な出会いは期待できない。意外な出会いには、しばらく読んでなかった作家の新作も。津村記久子氏は、2009年の芥川賞作家。すっかり読んでなかったけど、読み始めた瞬間に懐かしい気持ちになる。読み心地の良さが印…