CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

ノンフィクション

映画を早送りで観る人たち

ニュース番組は私も1.5倍速などにしがちだけど、なぜかドラマや映画に対してはそれができないでいる。しかし、最近は倍速視聴だけでなく、会話のない場面はスキップしたり、事前に仕入れた盛り上がる箇所以外はスキップしたり、という見方があるらしい。 セ…

アウシュヴィッツで君を想う

ユダヤ系オランダ人医師が残したアウシュヴィッツでの経験。あとがきによれば、これは回想ではなく「戦争が終結する前に」「収容所の中で」書かれた文章である。そのため、記録として詳細で、その場その場の会話や感情も含めて伝わるように思う。 作者は妻と…

美意識の値段

クリスティーズの日本代表であり、日本古美術の専門家である著者による、美意識と美術品ビジネスに関する四方山話。オークションハウスというビジネスは聞いたことがあっても、富裕層にしか関係のない場所という意識があって足を踏み入れたこともなく、まし…

ケーキの切れない非行少年たち

非行少年が普通の人と違う(サイコパス的な)、ということを言う本ではない。医療少年院、女子少年院にて勤務経験を有する精神科医が出会った「反省以前の子ども」たちの実態と、著者による提言。 本書によれば、凶悪犯罪を行った少年の中には、何故そのよう…

女帝 小池百合子

現職都知事の半生を、都知事に近かった人々からの証言と過去の著書や報道情報を基にまとめた一冊。私が物心ついた頃には既に政治家だった方なので、カイロ留学時代やキャスター時代のエピソード等は非常に興味深い。しかし、著者は何をモチベーションにこの…

謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア/恋するソマリア

一気に続けて読んでしまう。『謎の独立国家~』が先で、続編が『恋するソマリア』という時系列はあるけれど、どちらから読んでも楽しめるはず。ただ、やっぱり時系列に並んだほうが読みやすいのは確か。 『謎の独立国家~』を読めば、ソマリランドへの行き方…

醤油・味噌・酢はすごい-三大発酵調味料と日本人

私は海外に出ても、あまり食のホームシックを感じることがないのだけど、やっぱり時に和食か中華料理が食べられると少し嬉しくなる。醤油が恋しいのか、味噌(豆鼓のようなのも含めて)が恋しいのか、そのあたりは謎だけど、やっぱり染みついた味覚はあるの…

森瑤子の帽子

大きな派手な帽子と真っ赤な口紅、大きな肩パッド。バブル時代にスノッブを自認し、バブリーな生活が憧れをもって見られていたという森瑤子のトレードマーク。私は森瑤子の作品は数冊しか読んだことがなく、当時は年を取ることへの焦りを感じとる素地もなく…

政治と情念 権力・カネ・女

サブタイトル通り、権力・カネ・女のバランスが取れた田中角栄・真紀子論。当初は田中真紀子研究だったということだけれども、タイトルが示すとおり田中角栄研究が主。田中真紀子氏はエキセントリックな振舞いが目立つものの、政治家としては合理的な西洋派…

封印された日本の秘境

手つかずの原生林や樹海も良いけれど、個人的に惹かれるのはやっぱり廃駅や遺構。最盛期は国内シェアの3割を占めたという別子銅山や炭鉱開発で今から100年前に高層ビルが建てられていた離島・軍艦島は、もののあはれというか、諸行無常というか、不思議…

ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅

不勉強で、ダークツーリズムという言葉はつい最近まで知らなかった。戦争、災害、病気、差別、公害といった影の側面に焦点を当てた旅を、ダークツーリズムと呼ぶらしい。例えば、夜景と鮨が有名な小樽は、北のウォール街と呼ばれたり、鰊御殿と呼ばれる豪邸…

住友銀行秘史

元住友銀行取締役まで上り詰め、その後楽天の副会長を女性関係の問題で退任というなんだかすごい経歴の著者(ゴーストが入っているとどこかのインタビューで言われていたけど)が、戦後最大の経済事件といわれる「イトマン事件」に関する行内のいざこざや政…

ルポ 児童相談所:一時保護所から考える子ども支援

私個人も児童養護施設に暮らす子どもへの支援ボランティアに参加しているので、とても関心の高い領域ではあるけれど、児童相談所については考えたことがなかったので衝撃を受けた。児童養護施設で暮らす子どもは、将来施設の職員になりたいと言う子が多くい…

経済学者 日本の最貧困地域に挑む

レクチャーをきっかけに大阪維新の会に呼ばれ、橋本市長の元で改革を推進することになった社会保障関係の学者が特別顧問として行政の世界に入り込み、誰もが知る『あいりん地区』 の改革を実地で行った記録。貧困問題にそれほど強い関心がなくても、大阪市と…

文庫X 殺人犯はそこにいる

盛岡の書店からはじまった謎の本「文庫X」のブーム。都内の書店でも、手書きのカバーを付けたバージョンが平積みに。といっても、こちらでは手書きカバーの上に書名と著者名が書かれてはいるのだけど。 この本は、栃木と群馬の県境で連続して起きた女児殺害…

国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動

海上自衛隊の特殊部隊を創設した方による、創設の経緯と創設後の訓練に関する思想、退官後のフィリピンでの生活。書きぶりは落ち着いているものの、ものすごい迫力というかプレッシャーを感じる一冊だった。 読む前は思想的に偏った内容を心配していたけれど…

アッラーの花嫁たち ―なぜ「彼女」たちは“生きた爆弾”になったのか?

diamond.jp 子ども自爆犯の増加というタイトルの記事だけど、これは自爆なんだろうか。確かに、騙されたに近いながらも自分から進んで復讐のために行うこともあるかもしれない。でも、別のニュースでは押さえつけられた少年が爆弾を巻き付けられていた。そし…

アメリカのめっちゃスゴい女性たち

この本を男性が書いたことに、うれしい驚き。尊敬するべき女性たちが55人紹介されている一冊。紹介されている55人は、キング牧師の公民権運動の火付け役となったローザ・パークス、戦場で命を落としたジャーナリスト、難民キャンプ出身の学者、空軍の司…

「魔性の女」に美女はいない

タイトルの一文は、林真理子も何かのエッセイで語っていたように思うけれど、世の「魔性の女」というのは、言葉から連想する美女ではないらしい。魔性の女に人生を狂わされる男性後を絶たないのは、美人でない方が警戒心を解きやすいせいもあるのだろうか。…

プラハの憂鬱

仕事柄、アメリカとアジア事情はそれなりに知識を蓄えつつあると自負しているものの、ヨーロッパについてはほとんど知らないことばかり。 この週末は佐藤優氏の語学研修生時代を振り返った二冊を読了。亡命東欧知識人に関する「プラハの憂鬱」と英国の階層社…

キム・フィルビー かくも親密な裏切り

「かくも親密な裏切り」というサブタイトルが示す通り、本書ではキム・フィルビーというソ連のスパイであった英国人(英国でも諜報機関MI6に所属)の友情に多くの頁を割く。 長期間に渡ってだまされ続けた英国での同僚が彼を信じ続けた背景にある、英国にお…