CoffeeAndBooks's 読書日記

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働く女性が知っておくべきこと

なんと、同じシリーズの新書はすべてブルーなのにこの著者の本だけピンク色。

さすが、女性の品格。女子力のほどが気になり購入。

 

ただ、意外に普通の話、というか、地に足のついた内容だった。 

そのため、グローバル人材に関する話や働き手・働き方のダイバーシティに関する話には、それほど新しい発見はなし。ただ、著者が今は女子大の学長を務めているということで、教育に関する話は面白かった。

 

特に、大学を教育機関と見るか研究機関と見るか、という部分で日本と海外の違いが面白い。アメリカやオーストラリアは大学のメールアドレスに@eduを使うけれど、日本は@acを使う。そのあたりも日本の大学が教育に熱心でない、教育を雑務と捉えていることが伺えるのではないか、と。

ちなみに、海外で日本の大学は800校くらい、というと非常に驚かれる。ただ、誰でも大学に入れる状況になり、教育に頭を悩ませているのは複数の国で共通とのこと。先進国というのは基本的に贅沢。

しかし、受験勉強をしているのは高校生の10%というのは本当なのかな。ソースが気になるところ。正確な数字はさておき、最近の大学では、高校卒業程度の知識をつけさせるための教育があるというのはよく聞く話。本書で、それにリメディアル教育と名前までついていることをはじめて知った。状況は深刻そうではある。大学は高等教育の場でも自分で研究するための下地を作る場でもない。基礎学力を鍛える最後のチャンス・・・。

 

勉強をせずに20年近く生きていると、地道な努力は簡単ではないだろう。

そうした学生を多く抱えている大学の責任者が「社会人として船出する前にまず必要なのは基礎スキル」「実務をこなす地味なスキルを身につけることを侮って要領よく立ちまわり、気のきいたことを言ったり、大言壮語だけする人間になってはいけない」と考えているのはありがたいことだ。

いきなりi-podを生み出せる人はすごいし、変わり者も社会は評価するべきではあるけれど、i-podを手元に届けるためには沢山の地道な努力があるので。