ワーク・シフト
今更ながら。
2025年という後から検証できる近未来の予測と、それに備えた個人の働き方についての再考を促す一冊。 紹介される3つのシフトは、既に起こりつつある変化でもある。
1.ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
2.孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
3.大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
動きの早くなる社会では、ひとつの専門性を身につけるだけでは安泰ではない。かといって、ゼネラリストを志向しようにも大抵の知識がネットで手に入る中、ただ広く浅くでは意味がない。掛け算で威力を発揮できる専門性を複数身に着けることが競争力になるのだろう。
そして、世界がどんどん狭くなる中では、さまざまなネットワークが重要になる。距離が大きな意味を持っていた時代であれば、隣にいることが一緒に何かをする理由になったけれど、物理的な距離に意味がなくなると、ベストオブベストを世界に求められるようになる。これはビジネス競争という点では出生地ボーナスが毀損する可能性である一方、これまでに想像もしていなかったような新しい発想ができる可能性であり、これからの10年で更に世界が狭くなっていくことを想像するとワクワクする。それから、人的ネットワークに、安らぎのためのコミュニティを提唱していることも面白かった。目的意識に合致した人とつながっていくと、ひとつのコミュニティがすべてを満たすことはできない。
最近はワークライフバランス、やりがいの重視、といった流れがあるように、がむしゃらに頑張って収入を得ること、収入を得て消費すること、よりも経験を重視する方向に進んでいることは同意。おそらく、バブル期の両親よりも私たちの物欲は少ない。代わりに、仕事に対して収入以外のことを求め、会社とは親子関係ではなく大人の関係を望んでいる。また、私たちは寿命も長くなり、働く期間も長くなる。収入だけでは働き続けにくいだろう。
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- 作者: リンダ・グラットン,池村千秋
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/07/28
- メディア: ハードカバー
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