CoffeeAndBooks's 読書日記

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異文化理解力

 

 海外オフィスと仕事をすると、何かと驚くことばかり。これは何年やっていても。

 わりと初期のショックは、アメリカ人がファーストネームで上司を呼ぶからといって、階層がないわけではなく、むしろアメリカ人の上下関係はある部分では日本人よりも厳しいと知ったことだった。日本人なら上司にたてついても「あいつは骨がある」とポジティブになる場合があるけれど、アメリカ人だと難しい。但し、会議室で黙って話を聞くことが許されないというのも現実。だから、議論の足しにならないような(と見えてしまう)意見を堂々と述べる。

 そして、この書籍にもあったけれど、インド人は直属でない上の職位からの直接のメール(たとえば、日本オフィスの部長からインドオフィスの係長とか)に対してよい印象を持たない。インドのレスポンスの悪さは色々なところで話題になるけれど、そういった気遣い不足もあるのかもしれない。

 こういった文化的な差異を具体的な事例とともに紹介しているのが、この「異文化理解力」で、個人的にはフィードバックにおける文化的差異が面白かった。ポジティブなことを多く伝える文化(反省は自分でする文化?)とネガティブなことを多く伝える文化、直接的な言い方の文化と婉曲的な言い方の文化。こういった差異を理解していないと、せっかくフィードバックをしても、意味がなくなることもある。本書でも、直接的にネガティブなフィードバックを実施するフランス人に対して、ポジティブな内容で包み隠してたった一つのネガティブなフィードバックを伝えるアメリカ人の方法は、「彼らは私に満足している」という誤解を与える。

 過去の日本だと、帯にあるとおり多くの人にこの知識は不要だったと思う。一部の人が海外に出かけているだけだったし。だけど、今や日本の会社の日本オフィスにも外国人が多くいて、上司や部下が外国人になる状況もそれほど珍しくもない。そして、これまでは特定の国に通じていれば事足りることが多かったはずだけど、今やチームが文化のサラダボウル。色々な文化があり、コミュニケーションがあることを知っていて損はない。

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

 

 

異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養