CoffeeAndBooks's 読書日記

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無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論

 昨日(学歴の耐えられない軽さ - CoffeeAndBooks's 読書日記)に引き続き、海老原嗣生氏の著作。今度は就職活動の学生ではなく、課長レベルの社会人が直面するマネジメントの参考書的な一冊。

 全体的な作りとしては、波頭亮氏の経営戦略概論に似ていて、古今東西の経営戦略に関する理論が体系的に整理され、当時の背景や理論の組立てられた歴史のようなものが合わせて語られる。波頭氏の経営戦略概論がマネジメント全体の教科書だとすると、本書は組織の運営にフォーカスしたワークブックや参考書に近いかもしれない。

経営戦略概論―戦略理論の潮流と体系

経営戦略概論―戦略理論の潮流と体系

 

 部下のモチベーションマネジメントから始まり、組織における指揮命令系統の回し方や企業の雇用形態と育成など、現場で何となくの成功体験や上司からの指導を通じて学んだこともあるけれど、それらが理論的に裏付けられ、 なぜ自分や上司がうまく行ったのかが腑に落ちるので、後輩たちに自分の経験を伝える際の参考になりそうだ。また、うまく行っていない部分についても改善のヒントが得られる。マネジメントは本で学ぶものではないという意見があるけれど、やっぱり本には自分ができる経験以上のことが書いてある。現場は大切だけど、現場で学べることの積み重ねを整理して理論が作られることもあるし、理論に基づいて実践すると効率がいい(失敗するにしても原因分析がしやすい)。このあたりが、スーパー成功者たちがコンサル上がりのような後継者を重視しがちな理由かもしれない。自分が現場の実践から学んだことを言語化して整理してくれたら会社が長期に渡ってうまくいくんじゃないかという期待があるのではないだろうか。