CoffeeAndBooks's 読書日記

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明治姉妹と大正遊女

 どちらも不運に見舞われる女性が主人公の2作。

 

 明治姉妹は貴族の家庭に育った姉妹が主人公。実はいずれも実子ではなく、姉は女郎の子、妹は何らかの事情で捨てられた子。父親の事業が傾き、父親の自殺後、姉は働き始め、妹は美貌を活かし愛人稼業に就く。大正遊女と共通するのは、働くということに対するリスペクトではないかと感じた。だから、自分では働いたことのない理想家の共産主義者よりも、女中に飲み物の礼が言えて農業に挑戦したり国のために戦争に行ける貴族に主人公は惹かれるし、読んでいてそれは自然に見える。

 大正遊女は、遊郭に売られた女性たちが描かれている。ここでも、仕事の種類について云々よりも、誠意をもって働くことの効用が説かれている。自分のせいでない事情によって不幸な環境に置かれることは誰にでもあり得ることだけど、そうなったときに背筋を伸ばして受け止め、少しでも状況を良くするために頑張れるような気持ちを大切にしたいと思う。 

 大正遊女の主人公「りん」は、『少女漫画』に出てきたベルばら好きの派遣社員にも少し似ている。『ベルサイユのばら』、『ガラスの仮面』といった少女漫画の大作をテーマに、仕事に真剣に取り組む女性が描かれているこちらもおすすめ。 

少女漫画 (クイーンズコミックス)

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