食魔 谷崎潤一郎
谷崎潤一郎といえば、食い意地。確かに、こうして並べられると谷崎潤一郎の描く悪女はとにかく食べる。食べ過ぎて養っている男性が請求書に耐えられなくなるくらいに。延々と食事が続くと言えば、本書中でも触れられている金瓶梅だけど、確かに生命力あふれる金瓶梅の女性たちに退廃的な美はあまりない。
本書は、そんな谷崎潤一郎の食事にまつわるシーンや食の好みを集めたもの。食に対する執念のようなものを得るに至った背景を紹介されてから、小説から取り出されたシーンを読むと何とも味わい深い。それにしてもお腹のすく一冊。