CoffeeAndBooks's 読書日記

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落語心中

 ついに完結。

 最初はお調子者の不良青年が更生していく話かと思っていたら、そうではなくて名落語家である八雲師匠の友情、愛情と後悔が主題の何とも切ない物語だった。才能に溢れる一方で何ともダメな助六と努力も積み重ねている菊比古(のちの八雲)、最初は菊比古に付きまとっていた芸者のみよ吉は助六と出奔し、子をもうける。その後、みよ吉と助六が亡くなり、その子 小夏を八雲が育てるけれど、小夏は八雲がふたりを死なせたと思い続ける。八雲は悪態をついても弁明をすることはなく、淡々と過ごす。そんなところに、八雲の押しかけ弟子である与太郎が参加して、少しずつ家族のていをなしていく。10巻は素敵なファンタジーになっていて、最後の最後に色々なことを昇華させて幸せに旅立つことができると良いなと思った。