CoffeeAndBooks's 読書日記

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手紙は憶えている/REMEMBER

 認知症の進む老人が手紙に書かれた情報を元に、アウシュビッツのブロック長に復讐を試みる数日間の物語。たいていの映画は予想を裏切る終わり方をするものだけど、これも同様。それにしてもすごい。人は人をここまで騙せるのかと驚く。

 主人公ゼブは妻の死後、認知症が進んでいて妻の死も思い出せない。眠りから覚めては妻を探してしまう姿は痛々しい。そんなゼブに親友のマックスは妻が死んだら成し遂げると約束していた復讐を実行するための手紙を渡す。手紙に記される名前を変え、過去を隠して生きている復讐相手の候補をゼブが尋ねて行く。他の映画にも共通するけれど、ドイツ軍関係者も戦後は善良な市民に戻り家庭を築いている。それは意外な過去を持っていた登場人物も同様で、家庭を築き幸せな老後を送っていて、完全に普通の人間だったりする。そんな人でも、特殊な状況では人を殺すことができてしまうということも限られた時間の中で描かれている点もすごい。