CoffeeAndBooks's 読書日記

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ダーリンは70歳/高須帝国の逆襲

 漫画家 西原理恵子氏と交際宣言の高須克哉氏によるエッセイ。なんと、一度は書店に並んだのに絶版になっていたらしい。言葉狩りか。そして、Amazon Kindleにて青空文庫のような表紙で公表されている。

 高須氏のことはお金持ちというのと、金に糸目を付けず面白いことや良いことをするすごい人、という印象だけだったけれど、このエッセイを読んで素敵な人なんだなと思った。家庭人でないのは明らかだけど、亡くなった奥さん(彼女もお医者さん)に対する尊敬の気持ちや愛情を感じさせる記述はとても印象的。目下大恋愛中の女性がいるときに、自然にそんなことを言えるのは人徳じゃないだろうか。現在の彼女に対する不満を吐露する材料でもなければ、現状を持ち上げる材料でもなく、中立的に扱えるのは素敵なことだ。そんな人だから、西原氏の亡くなった旦那さんについても看取ってあげるように、と言えたのかもしれない。

 そして、西原氏の愛される暴君ぶりもほほえましい。高価なプレゼントはぞんざいに扱うのに、愛犬のために高須氏が分けてくれるパンは大切に扱う。何てかわいらしい。

 露悪的な芸風で有名になった方が純愛ぶりを隠さず、しかもそこにあざとさが見えないというのはすごい。