トヨトミの野望
どこかの戦国ゲームのようなタイトルだけど、経済小説。名古屋にある巨大自動車メーカーをモデルにした小説というか、仮名にしただけのノンフィクションというか。技術VS経営、創業者VSプロ、ビジョンVSビジネス、と両立も当然できることながら対立しがちな事項が凝縮させられていて面白い。巨大な組織のメカニズムを経営の目線から追体験できることはとても有意義。
そして、創業家の若様の成長物語としても面白い。本当に情けない若様(美人局にあって拉致されたり、若手の陰口を根に持ったり)であるけれども、先祖の創業した企業への誇りや自動車が好きという気持ちで成長を見せる。なかなか自分より優れたプロを評価できないけれど、自分が経営をしてみて実感することも多いはず。私自身、ここまでのレベルは到底ないけれど、管理職になると過去の上司のお小言やなんとも思わなかった上司のすごさがわかるといったことがあったので、少し身近に感じてしまった。
今も巨大企業としてグローバルの地位を保つ企業が舞台の物語なので、続編(あるなら)が楽しみ。