CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意

 インテリジェンスのプロである佐藤優氏と解説の天才である池上彰氏の対話形式で進んでいく、チェックするべき媒体と情報の読み方。最後に70の極意と紹介された新聞・雑誌・ネット・書籍に関する情報が一覧されている点は実践に移しやすくて実用的。

 今回は地方紙の読み方がとても面白かった。地方独特の情報があるだろう、というのは当然のことだけど、日露関係が動くときは北海道新聞に情報が流れるとか、共同通信の情報がそのまま流れるとか。それにしても、共同通信が社説参考まで提供しているとは驚いた。

 そして、衝撃を受けたのは『50年前のカッパ・ブックスが、いまの岩波現代文庫のレベルという言い方もできる』という一文。これは加藤周一氏の『読書術』が当時はカッパ・ブックスから、今は岩波現代文庫に収録されていることを指しているのだけど、昔はエンターテインメントだったものが今はやや難易度の高い読み物になっていると。ときどき実家の書斎にある本を読むと字も小さいし漢字も多く読みにくく感じてしまうけれど、そういうことなのか。それから、通俗化に関するお二方の意見も興味深い。ただ平易に書かれているのではなく、背景にある知識や理解が重要というのは、昨日読んだ調査報道での『100取材して10を書け。10しかわからなければ1しか書くな』に通じるものを感じる。

 また、本書ではビジネスパーソン向けということが意識されているので、地理や歴史の教養的な部分を手っ取り早く学ぶための読書も参考になる。教科書に戻るというのは色々な人が提唱しているけれど、地理A・歴史Aといった進学を前提としない高校生向けの教科書はあまり言われていないように思う。

 教養の基礎力という点では、外国人と話すには聖書を読まなくては、ダンテを読まなくては、といったものがいくつかあるけれど、日本を語るには漱石ということなので、今年はいくつか再読してみたいところ。