ザ・トランポノミクス
エリート層の支配力の低下と言われる直近の米国大統領選挙。どうも、エリート主義への反発といった単純なものではなく、高所得者に対する増税による富の再配分を謳ったクリントン氏よりも、勤労機会の増加を謳ったトランプ氏が魅力的だったという点もあるらしい。何とか暮らしてはいけるけれど豊かではない人たちにとっては、社会福祉の対象になるよりも、働いて暮らし向きが向上する方が魅力的であるとのこと。これを読んでいると、もしかするとAI全盛になってベーシックインカムで暮らせる日は人間が最終的に望まなくて実現しないのかなあと思ってしまった。
それはさておき、本書では対外政策についても予測がされており、日本に対してはそれほどネガティブな影響が現時点では少なそうとの見立て。メキシコ・中国への強硬路線はこれまでの言動から分かりやすい。そして、国内のエネルギー源の開発によってエネルギー政策は中東離れしそうであり、中東の政治情勢への介入は積極性を失うのではないかと。ななめ読みだとISに対する路線との折り合いが少し分からないところではあったけれど、泥沼を脱することになるのかもしれない。
しかし、トランプ大統領は本当に任期満了するのかな。