CoffeeAndBooks's 読書日記

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かんかん橋をわたって

 展開が予想外過ぎて一気に読んでしまった。しかし、世の中には伏線を回収できない漫画が大量にある中、本書にはほとんど伏線がないように見受けられ、驚く。だからこその自由な展開なのだろうか。

 

 前半は、町一番のおこんじょう(土地の言葉で意地悪)を母に持つ男性に嫁いだ主人公が姑にいびられながらも健気に過ごしていると、土地には嫁姑番付なるものがあり、主人公は4位(4番目に不幸)と知る。そして、ほかの番付内の嫁たちと知り合い友情をはぐくむ。

 主人公は持ち前の明るさでほかの嫁たちと打ち解け、地域での味方も少しずつ増える。しかし、他人へのアドバイスを通じて自分の意外な性格を知ることになる。なんと、町一番のおこんじょうである姑に似てくる。姑からは『人の心を弄ぶ喜び』を知ったと目をかけられはじめ、主人公は悩む。『怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。』というニーチェの言葉のような世界。

 そうこうしているうちに、主人公は嫁姑バトルの元凶を知り、さらには姑と元凶との過去の因縁が明らかにされていく。最後は、多くの嫁と姑が集結し、怒涛の展開に。20世紀少年を読んだ時のような興奮を覚えた。それにしても、最後の最後に姑 不二子はかっこよすぎた。

 いくらなんでも9巻・10巻は突拍子もなくすごい展開だったけれど、昼ドラ的な家庭内バトルが、海原雄山/山岡史郎(美味しんぼ)やミランダ・プリスリーアンドレア・サックス(プラダを着た悪魔)のような師弟関係に昇華していく様子も面白かった。