CoffeeAndBooks's 読書日記

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監査役 野崎修平

 監査役というあまり馴染みのない役職。立場が高いことはわかるけれど、何をしているのかよくわからない。何となくおじいちゃんたちがお茶を飲んでいるイメージ。実際、この漫画でも主人公を除く監査役たちはおとなしくお茶を飲むのが業務時間の主な過ごし方だったりもする。

 舞台は今はメガバンクになっている都市銀行と思われる銀行、主人公は優秀だけどとがっていて冷や飯を食べるタイプ。それが、見ている人は見ている、ということで巡り合わせから監査役に大抜擢される。続編では頭取にも。

 不良債権の処理に総会屋問題、後には業界再編の合併でシステム障害も。なかなかよく取材もされているのか、概ねリアリティがあるので、業界に興味のある人には面白いかも。監査役編は半沢直樹的な、悪に立ち向かい勝利するという話が中心ですっきりするけれど、その後の頭取編では意外な変節もあって、いろいろと考えさせられる。立場が人を作るということもあるだろうし、ずっと接している人々からの影響というのもあるだろうけど、人間関係において昔は違ったのに、と思うことは多くある。そこに潜む怖さがほんのり描かれているところはとても面白かった。