CoffeeAndBooks's 読書日記

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ベルサイユのばら エピソード編

 発売から3年も経ってから知った続編の存在。ベルサイユのばら、登場人物の過去と革命後のエピソード。

 個人的には、フェルゼンの晩年を描く前に、プチトリアノンの外でのフェルゼンについても描いてほしかったかもしれない。ベルばら本編の最後、マリーアントワネットを奪った民衆を憎悪し民衆から嫌われ、というような書かれ方をしていたように記憶しているけれど、もともとスウェーデンの大貴族であり、体制として王政を守らなくてはいけない立場にあることを考えると、民衆に対しても革命前から危機意識と抑え込もうという意思は持っていたのではないかと思うし、そうでないのだとすると、より一層、革命前と革命後を対比してほしくなる。

 ただ、フェルゼンの死までを読むことで、ずっと大好きなベルサイユのばらが遂に完結したという実感を持った。作者もオスカルの死後は何回かで終了させるようプレッシャーがあって消化不良だった、というようなことをインタビューで語っていたけれど、それは読者も同様。エピソード編の読後は、本編読後の悲しい気持ちよりも、少し寂しい気持ち。

 そして、ジェローデルへのスポットライトの当たり方が意外で興味深かった。本編ではオスカルに求婚したかと思えば、比較的あっさりと身を引き、紳士的に見守り続けたジェローデル。感情豊かな若い時代から、サンジェルマン伯爵の伝説を思わせるような存在への昇華。作者のジェローデルへの思い入れについては、興味がある。