CoffeeAndBooks's 読書日記

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ゲット・アウト/Get Out

 白人の女の子と黒人の男の子が、白人の女の子の実家に車で向かう。彼女の実家があるのは、どうにも不思議な雰囲気の町。いかにも差別の厳しそうな田舎町。両親はフレンドリーに迎えるけれど、主人公の男の子は居心地がよくなさそう。そして、女の子の母親が歓迎していないことを表しているのかと思っていた不思議な態度は、後になって意味が分かって驚く。なかなか、よくできている。

 主人公を迎える家族には、黒人の使用人。そして、親族の集まりには白人ばかりの中、たった一人の黒人の親戚。彼は、カメラのフラッシュに反応して涙を流し、主人公には"Get out"出ていけ、と言ってくる。高まる不安とイライラに、主人公は彼女と家を出ようとするけれど・・・。この逃走劇の最中、彼女も実は秘密があることがわかる。

 本当に見ていて怖いけれど、最初に出てきた主人公の友人。ただペットを預かるだけかと思っていたら、とても頼もしい存在に。結論には救いがあってよかった。とはいえ、主人公を招いた人々の欲望はだれもが持つもので、今は人種差別がよくないことという共通認識があるから、こんなことは起こらないというか、これを少しおかしな人たちに巻き込まれた事件として映画にできるけれど、前提が少しでも狂ったら、それが人種によるものなのかどうかは別にして、誰かを犠牲にして誰かがよい人生を得ることが正当化されてしまう可能性があるのかなと考えてしまうと、ものすごく恐ろしい。というのが隠れたメッセージにあるのかな、とふと思う。