CoffeeAndBooks's 読書日記

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きのう何食べた?

 雑誌で読むと「そこそこ面白いけど印象には残らない」と思っていた。ところが、1巻からまとめて読んでみると、何度読み返しても違う味わいがあって、すっかりはまってしまった。

 基本的には1話完結で、主人公のゲイカップルのちょっとした日常の出来事と食事風景が淡々と描かれるもの。であるけれど、同性愛に対する世間の目に少し悩む姿とか、男女の伝統的な性別役割みたいなものに反発する気持ちであったり、そういったものが織り交ぜられていて、いろいろと考えさせられる。男女の伝統的な性別役割に真っ向から反発していく主張はないけれど、かわいらしい奥さんからのDV被害者がクライアントになった際の主人公(町の弁護士)の対応だったり、母親から「なんだか女の子みたい」と微妙な態度をとられる場面だったり、そういったシーンから、読者に考えさせるのが上手いなと思う。大奥では男女逆転の江戸時代から人間の本質的なものを描いていくアプローチだとすると、こちらはほのぼのした日常から世間に対してちょっとしたチャレンジをしている印象。

 なお、作者は、いわゆるボーイズラブを中心に作品を発表してきた方だけど、そちら系のシーンはモーニングで連載ということあってなし。そして料理のレシピもとても参考になる。