歴史をつくった洋菓子たちーキリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで
紹介される洋菓子は、ガトー・デ・ロワ、クレープ、アップルパイ、エクレール、ヴォローヴァン、ザッハトルテ、マドレーヌ、ブリオシュ、パンプキン・パイ、サヴァラン、ビュッシュ・ド・ノエル、パン・デビス、タルト・タタン、ビスケット。フランスを代表する菓子もあれば、アメリカ人のソウルフードとも言える菓子もあり、普段の生活で目にする洋菓子の多くに触れている。
菓子の出自から、名前の起源、そして形状に関するあれこれ(マドレーヌはなぜ貝の形なのか、など)について、様々なエピソードが紹介されていてとても興味深い。読んでいると、重たいバターと砂糖たっぷりのケーキが食べたくなってくる。
読んでいて面白いのは、カレームというパティシエの存在。さまざまな洋菓子を生み出したとされつつ、年表に照らしてみるとどうも不自然とのこと。やたらと伝承が結びついてしまう人物というのはどこの国にもいるけれど、カレームは1800年代の人物ということもあって、考証がしやすい様子。しかし、レシピの本当のオリジナルを特定することが難しいということもよくわかる。なんとなくやってみたり、代用したらおいしかったり、そんなことを繰り返して洗練されて、どこかで権威が認めたり世の中で人気になったりしたところで、名前が広がる。有名なパティシエが生み出した菓子ならわかりやすいけど、郷土料理から発展する場合は起源などわからない。なので、結局は諸説ありになってしまうことも多々あるもの。それでも、こんな謂れのある菓子で、なんてお話をしながら楽しむと、より美味しいのも事実。
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