CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎

 漫画だと個別の場面での心情の動きをじっくりと考えられる利点があるものの、歴史の中のどの部分なのか、中国全土の中でどの辺りなのか、といった全体像が見えにくくなる。そして、史実を基礎にした創作だと、気になるのが、どこまで史実と一致するのか。

 そういったところを、いい感じで補完してくれるのが、この一冊。冒頭で年表や中国の全体地図を含め、なぜ始皇帝が中華統一(当時は中華ではなく中原と称されていたようだけど)できたのか、歴史的背景を解説してくれる。法家思想という言葉は歴史で習ったけれど、実はこれが後発の当時は新興国だった秦を中華統一が可能にした。しかも、本書によれば本来は数百年後に中原が統一されたはずだとされるところを、始皇帝が統一している。

 また、登場人物がどこまで史実なのか、についても、史記でどのように扱われているかを含めて知ることができる。女性になっているキャラクターが実際に女性かどうかは不明であるけれど。ただ、別の本(三国志の研究かなにか)でも戦場に戦士として参加していた女性自体はいたようだ、と読んだ記憶があるので、もしかすると一人二人は実際に女性かもしれない。このあたりは、だから何ということもないのだけど、ちょっと興味深い。

 なお、ネタバレはないので、キングダム完結前でも読みやすい(歴史なのでネタバレはいつでもしているのだけど)。

仕事に効く 教養としての「世界史」

仕事に効く 教養としての「世界史」