CoffeeAndBooks's 読書日記

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ハニーランド/Honey Land

honeyland.onlyhearts.co.jp

 日本では馴染みの薄い国、北マケドニア。少し前まで、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国と名乗っていたが、ギリシャとの国名を巡る争いを避けEU加盟を進めるため国名を変えたと聞く。国名を変え、NATOには加盟したようだ。

 

 そんな来歴のマケドニアであるが、この映画で焦点をあてられるのはBalkan Turkicと呼ばれるトルコ語の一種を話す人々。この地は、長きにわたりオスマントルコ支配下にあった地でもある。監督はマケドニア人で、インタビューによれば、トルコ語は理解しないらしい。同じ国の中で複数の言語が共存し、しかも相互に理解できないというのはどんな感じなのだろう。

“We don’t understand Turkish. So all the scenes with the dialogue, particularly, we didn’t know what’s going on there. First we spent three and a half months, four months, just watching the material, the whole material. And then we started editing on mute just the visual narrative,” (我々はトルコ語を理解しない。だから、すべての場面において特に会話については何が起きているのかわからなかった。最初に過ごした3か月半~4か月の間、我々はただ事象を見ていた。そして、音を消して視覚的な物語を編集し始めた)

How ‘Honeyland’ Documentary Found Its Protagonist in Rural Macedonia | IndieWire

 

 さて、そんな中で撮影されたこのドキュメンタリーは、自然の中で蜂蜜を採取して暮らす養蜂家とその母が主役。首都スコピエから20㎞ほどの地域らしいが、電気も通じていないようで、養蜂家の暮らしに登場する光は、太陽の光と、蝋燭や焚火。我々の想像を超える自然な生活をしている。

 養蜂家は「半分はじぶんに、半分はあなたに」という信条の元、養蜂を営む。そんな養蜂家の暮らす家の隣の敷地に、ある日突然トレーラーで引っ越してくるノマドの大家族。彼らは牧畜をしたり、畑をしたり、そして養蜂家に教えてもらいながら養蜂も始める。最初のうちは養蜂家の教えを守り欲張らない養蜂をするが、買い付けにやってくる商人にそそのかされて段々と好ましくない行動に出る。このやり取りや、一家の中でも起こる衝突などは、本当にドキュメンタリーなのか、と疑うくらいに生々しい。これは撮影を通じて育んだ信頼関係によるものなのか、登場人物が素朴であるためなのか。

 それにしても、たった1家族の小規模な養蜂でも、やり方を間違えばその土地の自然を破壊してしまうということに衝撃を受ける。世界で起きている環境破壊の一例として、非常に示唆に富んでいる。上映する映画館が限られているのが残念。

バルカンを知るための66章【第2版】 (エリア・スタディーズ48)

バルカンを知るための66章【第2版】 (エリア・スタディーズ48)

  • 作者:柴 宜弘
  • 発売日: 2016/01/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)