CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

新・トルコで私も考えた2020

 おしゃれな雰囲気と少し大人っぽい内容が大好きだった高橋由佳利氏の一人旅から始まる、トルコと日本を行き来する人生が綴られるエッセイ。

 掲載開始から四半世紀。最初は旅行者、短期滞在者の視点で描かれていたトルコが、生活者の視点になり、離れて暮らすホームのような位置付けになり、とトルコ自体の変化もあれば、作者とトルコの関係の変化もあって、シリーズ通して読んでいると非常に感慨深い。

 最新刊は、25年ぶりの同窓会や息子さんの就職活動、家族全員のリモート化、老後に向けたお話など、単純なトルコ情報や異文化交流としての面白さだけでなく、帰属意識アイデンティティについて、いろいろと考えさせられる一冊だった。息子さんの就職活動のエッセイの話。両親の祖国のどちらに言っても外国人扱いをされる、という話は過去に習っていた語学の先生も同じような状況を話してくれたことがあったけれど、深く聞くことができなかった話題だったので、特に興味深かった。もちろん、単純な話ではないし、似たような環境に見えても経験することや感じ方は十人十色で違うものだとは思うけれど、考え方の一部を知ることができたのは貴重だと思う。