CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

国会女子の忖度日記: 議員秘書は、今日もイバラの道をゆく

 私も例の事件が起きるまで『忖度』なんて言葉は知らなかったけれど、『忖度』を日々の仕事としている議員秘書(それもベテランの政策秘書)が明らかにする議員秘書の世界と一部の議員に関するうわさや評価。ちょっと愚痴っぽさが気になるものの、衆院選投票日の今日、面白くて一気に読んでしまった。実名と匿名の微妙な感じもいろいろと憶測ができて面白い。

 議員との関係についてはそれほど驚きがないけれど、後援者との関係は「昔の話」と前置きがありつつも驚く。椅子をけられるパワハラくらいなら我慢できても、票のためにそこまで、と変な尊敬をしてしまう。そして、議員だけでなく、秘書も付き合うのかと思うと、大変なお仕事だ。

国会女子の忖度日記: 議員秘書は、今日もイバラの道をゆく

国会女子の忖度日記: 議員秘書は、今日もイバラの道をゆく

 

 

女神の見えざる手/Miss Sloane

miss-sloane.jp

 ワシントンDCの敏腕ロビイストが主人公のこの映画、ものすごく興奮させられる。勝利に取りつかれた天才、チームメンバーをリソースとして最大限に活用する徹底した合理主義は理解を得られにくいけれど、確実に結果を出す。とにかく、睡眠障害や薬物依存、エスコートサービスの常連などちょっと生活が破綻しているところもありつつ、しっかり仕事をしているシーンはかっこよすぎる。公聴会の最後は圧巻。まあ、自分がなりたい姿や一緒に働きたい存在ではないかもしれないけれど、一度はご一緒してみたい強烈な人物。

  そして、強烈なキャラクターを主人公に持ちつつ、ほかの登場人物もしっかりと描かれているなという印象。フォード君なんて本当に彩りだと思っていたら、意外にきっちり仕事をしてくれるし。また、衣装も素晴らしかった。10センチはありそうなピンヒールは別にして、働く女性にとって参考になるファッションも多い。

Miss Sloane [DVD] [Import]

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敏腕ロビイストが駆使する 人を意のままに動かす心理学

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  • 作者: フォルカー・キッツ,畔上司
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2014/10/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術 (光文社新書)

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ロビイスト―アメリカ政治を動かすもの (講談社現代新書)

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社内政治マニュアル

 直接的で、書店で手に取るのは少し躊躇するけれど、大丈夫、Kindle版があった。

 内容としては、「職場の駆け引き術」というけれど、人を自分が思うように動かすという方向での駆け引きはあまりない。印象に残るのは、自分に対して攻撃的・非協力的に見える人には、その人の視点・利害があるので理解に努めましょう、卑怯なことをする人には、何をしているか知っていると伝えて牽制しましょう、というきわめて真っ当な教え。ただ、コミュニケーションの仕方については勉強になるので、この手の教育を受けたことのない身には役に立つ内容。 

ハーバード・ビジネス・レビュー公式ガイド 社内政治マニュアル

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なぜ昇進するのはいつもあなたではないのか もっと早く知っておきたかった「社内政治」の技術

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会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール

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プラネタリウム/planetarium

planetarium-movie.com

 なんだか、よくわからない映画。舞台は1930年代のパリ。降霊ショーを行うアメリカ人姉妹と彼女たちを題材に映画を撮ろうとするプロデューサーが主な登場人物。不思議な力があるのか、ただの詐欺師なのか、という問いへの答えは比較的すっきりと出される。でも、この映画のメッセージがよく理解できないまま終わった。

 プロデューサーのコルベンはどうやらユダヤ人で、第二次世界大戦の直前という時期に微妙な存在であり、元々会社のお金の使い方でケチのついていた存在。そんな彼が『よくわからない』降霊にはまり多額のお金をつぎ込み、少しずつおかしな感じにもなっていく。『見たかったものを見せてくれる』降霊にはまって悲劇に近づいていく話なのか、野心に満ちた美女が引き換えにいろいろなものを失っていく話なのか。もう一度くらい見てもよいかもしれない。 

 

 

 

オン・ザ・ミルキー・ロード/On the milky road

onthemilkyroad.jp

 3つの実話と多くの寓話に基づく、という隣国と戦争中のとある国が舞台のお話『オン・ザ・ミルキー・ロード(On the milky road)』。80年代の体操選手だったという主人公・コスタのフィアンセ?であるミレナの台詞や多国籍軍の介入など、ユーゴスラビア内戦を思わせる要素が沢山。監督エミール・クストリッツァといえば、ユーゴスラビアの歴史を描いた『アンダーグラウンド』が著名だけど、この映画はかなりアプローチが違う。

 本作では、旧ユーゴスラビアらしき国の田舎で、トラウマがもとで恐怖が麻痺したとみえるコスタが、ロバに乗って銃弾の飛ぶ中でミルク運びをしている。そのミルクを供給している農家のミレナは、ある日、花嫁を買ってくる。なんと花嫁は2時間の間ずっと名前がなく、クレジットにも'Bride'とあるだけ。美しいモニカ・ベルッチが演じるBrideは、美貌が元で悲劇的な過去を持ち、この戦時下も追われる存在。美しいことが悲劇の元、なんて台詞に説得力を持たせられるのはすごい。

 なお、この映画は戦時下の話でありつつも、銃撃などの戦争映画的な場面は限定的。でも、冒頭の屠畜後に豚の血をためたバスタブにガチョウが次々と飛び込む場面など、別な形で気持ちがざわつく場面が多い。ミレナも別なホラー映画が一本作れそうな狂気を感じるし。大時計の場面はチャップリンの喜劇的な、と言う感想も聞いたけれど、私にはあまり喜劇的に見えなかった。東欧ユーモアを解する感性がないのかもしれない。一方で、最後の最後のコスタが石を運んで・・・のくだりは少し感傷的な気持ちにさせられた。羊飼いのおじいさんの台詞も、重い。その重さを感じさせるのは、すごい映画だと思う。

 

夫婦の中のよそもの

夫婦の中のよそもの

 

  

マレーナ [Blu-ray]

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杉浦日向子の食・道・楽

 食事について、メニューに季節感がないことを嘆く人は多く、私自身も反省することが多いけれど、器についてはもっと無関心な気がする。そんなことを思ってしまう、酒器十二か月の章。各月に本人所有の器の写真が紹介されていてとても素敵。生活を楽しむ、ぜいたくに暮らすとはこんなことではないだろうか、とも思う。

 ひとりで食事する楽しみ、人と食事をする楽しみ、どちらも最高に素敵なことに思わせてくれるエピソードの数々も魅力的な一冊。粋な方でした。

杉浦日向子の食・道・楽 (新潮文庫)

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いちまいの絵

 元キュレーターであり、絵画や画家をテーマにした小説も多い原田マハ氏による26枚の絵とそれにまつわる画家だったり時代だったりが紹介される、エッセイ的な一冊。有名な絵画は世界中で多くの人が詰めかけるので、なかなかじっくりと向き合える機会は得難い。そもそも、世界中の美術館を巡ることも難しいし、住んでいる地域によっては何とか美術館展も滅多にはやってこない。その点、仕事でも絵画とかかわり続けてきた専門家である著者は何度も素晴らしい絵画を実際に見たり、特別に一人向き合う機会を得たりとうらやましい。でも、そうやって感じたことを変な力みなく、上から目線でもなく共有してくれるスタイルは嬉しい。きっと、次に会う絵とはもっと対話ができるはず、と思える。ゲルニカはぜひタペストリーも見たいな。

 私は絵画には詳しくないものの、ここで取り上げられる絵画は少なくとも写真・画集レベルでは見たことがあるものばかり。おそらく多くの人にとっても同様なはず。一応、カラーのページで絵を紹介しているけれど新書ということもあって小さなものなので、少し記憶にある画像で補完したほうが良いかもしれない。

 著者が「いちまいだけ所有できるとしたら」と挙げる画家がゴヤではなかったことには少し驚いたけど(マハという名前は作家として語感で選んだのかな)、納得感のある一枚と言われる画家にさらに驚いた。素人にはただ意外。目が肥えるとわかる良さなんだろうか。