CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ

 さすがに常備されている食材だけ、とはいかないけれど、近所にあるそれなりのスーパーがあれば手に入りそうな食材で楽しめる、テーブルの上の世界旅行。世界196か国の、ちょっと豪華な家庭料理という感じだろうか、大掛かりな道具はいらないけれど、メインになりそうな料理が並ぶ。隣り合った国で、微妙に似ている料理の類似点と相違点を見るだけでも楽しい。

 鶏肉の国、牛肉の国、魚の国、などタンパク質の違い。素材の味を生かした料理もあれば、スパイスをきかせた料理と味付けの考え方の違い。そして、時にはチョコレートもデザートではなく食事の材料になるといった驚き。世界の多様性は、それだけで楽しいし、日本人読者の舌に合わせたアレンジもあるのかもしれないけれど、驚きの組合せも食べてみるとおいしい。とにかく、食べているうちに旅に出かけたくなる魅惑のレシピ集。

全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ

全196ヵ国おうちで作れる世界のレシピ

 

 

ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅

 不勉強で、ダークツーリズムという言葉はつい最近まで知らなかった。戦争、災害、病気、差別、公害といった影の側面に焦点を当てた旅を、ダークツーリズムと呼ぶらしい。例えば、夜景と鮨が有名な小樽は、北のウォール街と呼ばれたり、鰊御殿と呼ばれる豪邸が建ち並んだり、と栄華を誇った時期がある一方、小林多喜二を輩出した地であり、栄えた町の負の側面として遊郭やそこで働くことを強いられる女性がいたり、という暗い部分があったり、その後の衰退の歴史も明るいものではない。そういった面にも目を向けて旅をする、というのは、ただ美味しいものを食べてきれいな景色を見て帰る旅よりも、印象に残るだろうと思う。すべての幸せな家庭は互いに似ていて、不幸な家庭はそれぞれに不幸だ、と言われるように、不幸な歴史というのはそれぞれに違いが明確に感じられるから。

 この書籍では、ダークツーリズムの対象となる地域とその歴史を紹介する一方で、ただ暗い学びの旅を推奨するものではない。少し焦点がぼやける印象がないこともないけれど、やっぱり重い歴史だけでは余程の思い入れのある出来事出ない限りは旅に出る背中を押しにくい、と考えると、非常にバランスの良い一冊かもしれない。少なくとも、旅に出る前に、何か学ぶべきことや現地で考えることがないか、そんな準備をしようと感じた。 

ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅 (幻冬舎新書)

ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅 (幻冬舎新書)

 

 

 

 

バンク・ジョブ/The Bank Job

 実際の事件("Baker Street robbery")に基づくという映画。MI5の工作によって、素人の犯罪者たちが銀行強盗を計画。その裏の目的は王女のスキャンダル写真を回収すること。銀行の貸金庫からの強盗であれば、後ろ暗い資産も多く、被害者が公にしにくい、被害届も出しにくい、と首謀者のマルティーヌが仲間を初期に説得していたけれど、実際に表に出せない資産が多かったことは事実。そのため、賄賂の裏帳簿や政治家を脅すためのスキャンダル写真など、お金や宝石以外の預けられた資産を巡って、犯人たちは危険な目にあったり、命を落としたりする。

 最初はオーシャンズのような映画を期待していたけれど、こちらは少し暗い気持ちになる映画。ケチな犯罪者がちょっとした出来心から深刻な事件に巻き込まれるのは切ない。とはいえ、とても興味深い映画。 

バンク・ジョブ (字幕版)
 
バンク・ジョブ [Blu-ray]
 

 

歴史をつくった洋菓子たちーキリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで

 紹介される洋菓子は、ガトー・デ・ロワ、クレープ、アップルパイ、エクレール、ヴォローヴァン、ザッハトルテ、マドレーヌ、ブリオシュ、パンプキン・パイ、サヴァラン、ビュッシュ・ド・ノエル、パン・デビス、タルト・タタン、ビスケット。フランスを代表する菓子もあれば、アメリカ人のソウルフードとも言える菓子もあり、普段の生活で目にする洋菓子の多くに触れている。

 菓子の出自から、名前の起源、そして形状に関するあれこれ(マドレーヌはなぜ貝の形なのか、など)について、様々なエピソードが紹介されていてとても興味深い。読んでいると、重たいバターと砂糖たっぷりのケーキが食べたくなってくる。

 読んでいて面白いのは、カレームというパティシエの存在。さまざまな洋菓子を生み出したとされつつ、年表に照らしてみるとどうも不自然とのこと。やたらと伝承が結びついてしまう人物というのはどこの国にもいるけれど、カレームは1800年代の人物ということもあって、考証がしやすい様子。しかし、レシピの本当のオリジナルを特定することが難しいということもよくわかる。なんとなくやってみたり、代用したらおいしかったり、そんなことを繰り返して洗練されて、どこかで権威が認めたり世の中で人気になったりしたところで、名前が広がる。有名なパティシエが生み出した菓子ならわかりやすいけど、郷土料理から発展する場合は起源などわからない。なので、結局は諸説ありになってしまうことも多々あるもの。それでも、こんな謂れのある菓子で、なんてお話をしながら楽しむと、より美味しいのも事実。

 

   

BRUTUS(ブルータス) 2018年 11月1日号 No.880 [洋菓子好き。] [雑誌]

BRUTUS(ブルータス) 2018年 11月1日号 No.880 [洋菓子好き。] [雑誌]

 

 

きのう何食べた?

 雑誌で読むと「そこそこ面白いけど印象には残らない」と思っていた。ところが、1巻からまとめて読んでみると、何度読み返しても違う味わいがあって、すっかりはまってしまった。

 基本的には1話完結で、主人公のゲイカップルのちょっとした日常の出来事と食事風景が淡々と描かれるもの。であるけれど、同性愛に対する世間の目に少し悩む姿とか、男女の伝統的な性別役割みたいなものに反発する気持ちであったり、そういったものが織り交ぜられていて、いろいろと考えさせられる。男女の伝統的な性別役割に真っ向から反発していく主張はないけれど、かわいらしい奥さんからのDV被害者がクライアントになった際の主人公(町の弁護士)の対応だったり、母親から「なんだか女の子みたい」と微妙な態度をとられる場面だったり、そういったシーンから、読者に考えさせるのが上手いなと思う。大奥では男女逆転の江戸時代から人間の本質的なものを描いていくアプローチだとすると、こちらはほのぼのした日常から世間に対してちょっとしたチャレンジをしている印象。

 なお、作者は、いわゆるボーイズラブを中心に作品を発表してきた方だけど、そちら系のシーンはモーニングで連載ということあってなし。そして料理のレシピもとても参考になる。

 

レベッカ

youtu.be

 シアタークリエ×涼風真世×山口祐一郎、貴婦人の訪問(貴婦人の訪問 - CoffeeAndBooks's 読書日記)を思い出す。チケットを取ったのは、もちろん涼風真世がダンヴァース夫人を演じる回。しかし、保坂知寿のダンヴァース夫人も見たかった・・・全く違う魅力があったはず。

 涼風真世はさすがの歌、貫禄。男役的な声とも違う低音が素晴らしい。盛り上がるところでも急な裏声がないのがすごい。そして、狂気を感じさせるレベッカへの愛情を見せるダンヴァース夫人を涼風真世が演じると、最後まで顔の見えないレベッカの姿も涼風真世で想像してしまい、ますます妖しい愛憎を感じてしまう。ダンヴァース夫人は、レベッカに自分を投影してうっとりしていたのかもしれない。レベッカを誇らしく陶然としていたら、急死。これはひどい喪失感を与えるはず。そして、レベッカの夫はレベッカとは比較にならないような女の子を後釜に迎えようとしている状況は許しがたいものだろう。でも、その死の真相は、ダンヴァース夫人にとってある意味ひどく残酷。ただ、ちょっと火事のシーンに続く感情の変化がわかりにくかった。もっと、じめっとした終わり方をすると思っていたので、余計にかも。でも、全体を通じた満足感は高め。

 ちなみに、「わたし」は桜井玲香の回だった。声がとてもきれい。見た目も可憐だし、やや小柄なので元男役の涼風真世と並ぶと余計にかわいらしさが際立つ。でも、実はこの手の女の子が、芯は強くて一番コワイタイプだったりする。そのあたりの伝わり方がいい感じ。

レベッカ [DVD]

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レベッカ (上) (新潮文庫)

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Fairy

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ビジネスファッションルール 武器としての服装術

 ファッションについては人から注意を受ける機会が少なく、特に女性の場合は自由度が高いと思っている人も多いので、余計に難しい。また、日本ではあまり職業に応じた服装という意識が不足しているところがあるかもしれない。たとえば、日本版は少し見ただけだけど、同じ弁護士を主役に据えても、米国ドラマの"Good wife"と日本版の"Good wife"を比較すると、日本版はかなり甘めに見えた。

 ただ、許容されるとしても、甘めのファッションはやっぱり女性を「女の子」に見せてしまうことがあるので、注意が必要。オフィスで話しかけやすい雰囲気を醸し出すべき職種と、タフな交渉の前面に出す職種では服装が違う。部下よりも安っぽい服を着た上司は尊敬されないかもしれない。この『ビジネスファッションルール 武器としての服装術』は、トレンドを理解するためのファッション雑誌から、どうやって取捨選択するか、の視点を養うのに役立ちそうな一冊。さすが、キャリア志向の女性向けの書籍を多く発行する出版社。

ビジネスファッションルール 武器としての服装術

ビジネスファッションルール 武器としての服装術

 

 

  

[改訂新版]男が上がる! 外見力

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