CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

2015-01-01から1年間の記事一覧

独裁者と小さな孫

架空の国の独裁者が権力の座を追われ、妻と娘は国外逃亡に成功するものの、独裁者である大統領と小さな孫だけが残り、宮殿に戻る前に政権が崩壊、二人は逃亡することに。 劇的な葛藤や後悔を表に出すことはしないけれど、逃亡の過程で自分の失策によって人生…

異文化理解力

海外オフィスと仕事をすると、何かと驚くことばかり。これは何年やっていても。 わりと初期のショックは、アメリカ人がファーストネームで上司を呼ぶからといって、階層がないわけではなく、むしろアメリカ人の上下関係はある部分では日本人よりも厳しいと知…

アクトレス/Clouds of Sils Maria

この「アクトレス」のテーマは、女優という外見を商売道具のひとつとする職業の女性が老いと向き合うことなのか、はたまた若い女優の台頭に焦ることなのか、と予告編を見て想像していたけれど、それ以上に固定観念から離れて変化を受容するという性別や職業…

50ヵ国語習得法

複数語をマスター、複数語がペラペラというと、「どのレベル?」という疑問が付き物。 著者は医師。さすがに、50カ国語で診察をできるレベルにできるということは想像がしがたいけれど、外国人を相手にするお医者さんであれば、最初の一言二言を相手の母語で…

BCGの特訓

賛否両論のインターン学生が名刺整理に不満を訴え逃走したという話があって、やはりその学生の言い分には分がないと思う一方で、「作業と仕事は違う」という一言くらいは最初に誰かが伝えなくてはいけないことなのだろうとも思う。 スタートアップや外資系で…

あの日のように抱きしめて/the phoenix

少し前に見た映画。 第二次世界大戦が終わり、収容所から生還した女性は、生き別れた夫を探す。 具体的なエピソードは語られないが、収容所でひどい怪我をした彼女は、顔の再建手術が必要なほどだった。手術は成功するものの、再会した夫も最初は気付かない…

プラハの憂鬱

仕事柄、アメリカとアジア事情はそれなりに知識を蓄えつつあると自負しているものの、ヨーロッパについてはほとんど知らないことばかり。 この週末は佐藤優氏の語学研修生時代を振り返った二冊を読了。亡命東欧知識人に関する「プラハの憂鬱」と英国の階層社…

The Intern

邦題「マイインターン」 若い起業家が経営するオンラインファッションサイト運営企業が導入したシニア・インターン(高齢者インターン)。優秀ではあるものの経験不足から色々とうまくいかない状況のCEOに、落ち着いた経験豊富なインターンという面白い取り…

DEVIL'S KNOT

不確かな証拠に基づき、若者3人が逮捕され、有罪となった(18年の懲役の後に司法取引により釈放)ウエスト・メンフィスでの殺人事件に関するノンフィクション。 アーカンソーがどんなところなのか、私は映画を見るまで想像もできなかったので、地理に疎い人…

ボールルームへようこそ

冴えない主人公がスポーツに出会い、天賦の才能を見出され、良いコーチとライバルに恵まれ、才能を開花させる。王道のスポーツ漫画。作りはわかりやすいけれど、登場人物がそれぞれ魅力的であり、それぞれの立ち居地での葛藤が丁寧で引き込まれる。10月に発…

ワーク・シフト

今更ながら。 2025年という後から検証できる近未来の予測と、それに備えた個人の働き方についての再考を促す一冊。 紹介される3つのシフトは、既に起こりつつある変化でもある。 1.ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ 2.孤独な競争から「協力して起…

貨幣の鬼 勘定奉行 荻原重秀

学校の歴史で習う新井白石といえば、儒学の教えをまとめた学者であり、5代将軍綱吉の悪政により傾いた幕府の政治を儒教精神で改革する正徳の治を主導した立派な人物のように映るが、実際のところ正徳の治は抜本的な改革には至らず、次代の享保の改革に引き継…

物語 財閥の歴史

日本においてビジネスについて語る上では避けられない「財閥」「系列」。本書では財閥の成り立ちから成長、解体、さらにその後の企業集団結成までを分かりやすく説明している。銀行を持つか持たないかの意思決定も含め、ビジネス拡大の流れはとても興味深い…

人生スイッチ

最高に笑えるブラックユーモア短編のオムニバス。 アルゼンチンではあの「アナと雪の女王」よりも興行成績が良かったとの触れ込みだけど、これが国民的ヒット作というのはちょっとどんな国なんだろうと思ってしまう。もしかしたらリピート客が多いのかな。と…

賢者の愛

はじめて読んだ山田詠美の小説は「蝶々の纏足」で、そこでは自分が愛されることを当然の権利として疑わない少女と大人びた少女の歪んだ友情と反発が何とも美しく描かれていたことを思い出す。 「賢者の愛」は「痴人の愛」を下敷きにしているものの、影響力を…

妻への家路

前半から涙の止まらなかった映画。 文化革命の際に政治犯として収容された夫が、釈放されて戻ると妻は夫を見ても「夫である」と認識できなくなっている悲劇。夫の収容・逃亡・再収容、世間の風当たりや娘との関係など、並大抵でない苦労は、夫への愛情は強い…

国際市場で逢いましょう

出張の飛行機内で見た映画。 韓流には明るくないので、この偶然の出会いがなければ見なかったであろう映画です。 朝鮮戦争を機に離散した家族の物語で、主人公は、父親が行方不明なので家長でもある長男で、到底共感できないくらい家族のために働き、懸命に…

キム・フィルビー かくも親密な裏切り

「かくも親密な裏切り」というサブタイトルが示す通り、本書ではキム・フィルビーというソ連のスパイであった英国人(英国でも諜報機関MI6に所属)の友情に多くの頁を割く。 長期間に渡ってだまされ続けた英国での同僚が彼を信じ続けた背景にある、英国にお…

愚者の皮

美しい妻が交通事故をきっかけに(さらにその後の医療事故により)、醜くなってしまう。その事実を受け入れられない夫と、傷つく妻。 夫は軽薄に容姿だけを求めていたというよりも、病的に醜いものを恐れていて、妻の変容はそれに気付かせ夫を苦しめる。妻は…