CoffeeAndBooks's 読書日記

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楽園のカンヴァス

 絵を描くことに関する物語かと予想して手に取り読み進めたところ、「絵」そのものに関するミステリーだった。史実に基づくということだけれども、どこまで本当なのか美術に関する知識のない私には分からない。しかし、それでも十分に楽しめる分かりやすさを備えており読みやすい。

 本作は表紙にもなっているルソーの「夢」を巡るミステリーだ。MoMAに所蔵される「夢」にそっくりな「夢を見た」と題される絵画の真贋を巡って、MoMaのアシスタントキュレーターと新進気鋭の日本人研究者が謎解きを争う。謎解きの題材が面白く、いかにも本当にありそうな謎の書物は読者を物語に引き込む。そして、最後に若干の説明くささはあるものの、色々な伏線が最後につながる瞬間は鳥肌が立つ。