CoffeeAndBooks's 読書日記

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ペイン アンド グローリー/Pain and Glory

 仕事に関係のある本のことは書けないので、仕事のインプットが多いと、映画の投稿が多くなってしまう。

 コロナでしばらく映画館に行けなかったのは残念だが、Social Distancing推奨下の映画館は座席間隔があけられていて非常に快適。本日は久々のペドロ・アルモドバル。そして、久々のアントニオ・バンデラス。ハリウッドのセクシーなバンデラスよりも、スペインの繊細なバンデラスの方が、個人的に好きなので、このコンビは嬉しい。

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 本作は、大病を患い、母を亡くし、仕事を再開できないでいる映画監督のサルバトールが、過去を取り戻す物語。仲違いしていた32年前の映画の主演俳優との再会と交流、古い恋人、亡くなった母親。美しい音楽と、色彩がまた素晴らしい。途中、少し退屈な場面がないこともないのだけど、後からエピソードの意味がつながって、別な味わいも。

 幼年期の洞窟の暮らしは映画で見ると素敵だけど、あまり楽な暮らし向きではないらしい。そんな生活から、母の望む道とは異なる道で成功したサルバトール。しかし、晩年の母の言葉が刺さる。ペドロ・アルモドバルはマザコンな印象があったけれど、本作では母に対する愛情とともに、母からの抑圧が伝わってくる。成功しても母の期待に応えていないことで責められるのは、つらい。私自身もとても共感しながら観たけれど、ペドロ・アルモドバルのマザコン風味な映画が軒並み世界で高評価なのは、割と世界には同じような思いをしている人が多いのだろうか。

 一方で、過去の恋人との再会は、少し切ないけれど、肯定的。どんな結末になっても、お互いが感謝するような恋愛は、人を成長させるし、生きる力になるし、再生にもつながるのかな、と思う。サルバトールの立ち直ろうとする姿に、静かな感動を覚える。

Pain and Glory [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/01/21
  • メディア: Blu-ray