CoffeeAndBooks's 読書日記

日々の読書を記録しています

読書

善悪の屑

最近、スマホからウェブ閲覧をしていると、漫画の広告が多く出て、ついつい買ってしまう。こちらも漫画サイトからKindleまで色々な経由で読めるシリーズ。 基本的には実話を下敷きにしたと思われる、残虐だったり卑劣だったりする犯罪の被害者又はその遺族・…

疾風の勇人

モーニング連載中の「疾風の勇人」、ついにコミックが発売になるということで。 戦後の復興もままならない時代から始まり、後の総理大臣である池田勇人を中心に、新しい日本を作る政治家たちを描く。GHQ=Go Home Quicklyだと説く吉田茂の元に集められる後の…

オーダーメイド

路地裏のアダルトショップの奥に500万円のビデオ。これは、買い手の思う人物を出演させられるというもの。ただし、本当は何らかの背景を持つ男女が全身整形をして買い手の思う人物を演じていて、音声の加工等もされているというもの。それでも、作り込みによ…

食の軍師

孤独のグルメはすっかり有名になったけれど、個人的には食の軍師のバカバカしさが何とも気に入っている。一人で食事をする中年の男性が、おいしい食事をするだけでなく通っぽさや粋さを演出できているかまで気にした注文や食べ方を追求する漫画だ。また、5巻…

下流の宴

主人公の由美子の下世話な選民意識が素晴らしく描かれているけれど、これは成功した一方でコンプレックスから開放されていないことを各種エッセイでも明らかにしている作者ならではだろうか。 人との比較をして上流・下流というのも何とも嫌な感じだし、得ら…

「魔性の女」に美女はいない

タイトルの一文は、林真理子も何かのエッセイで語っていたように思うけれど、世の「魔性の女」というのは、言葉から連想する美女ではないらしい。魔性の女に人生を狂わされる男性後を絶たないのは、美人でない方が警戒心を解きやすいせいもあるのだろうか。…

あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか―――論理思考のシンプルな本質

作者の文中に書いているとおり、作者は灘から東大の「頭の良い人」である。しかし、そんな頭の良い人でも敵わないと思う「考える力のある人」が世の中には沢山いる。その「考える力」を身につけるためのヒントを多く共有してくれる何とも親切な一冊。 では、…

外資系で生き残る処世術

これを読めば生き残れるかどうかはさておき、外資系に何となく幻想を持つ人には一読をお勧めしたい一冊。 ドライな人間関係を夢見て外資系企業に就職する人は、苦労することが多い。外資系企業でも採用基準・昇進推薦基準には「チームワークができるかどうか…

Real Clothes

「プラダを着た悪魔」に似ているという意見も聞かれるように、おしゃれではないけれど仕事のできる主人公が、おしゃれで超優秀な上司の下で開花する物語。大きな違いは職場がファッション誌の編集部からデパートになったことと、女王様上司の補佐役がゲイか…

楽園のカンヴァス

絵を描くことに関する物語かと予想して手に取り読み進めたところ、「絵」そのものに関するミステリーだった。史実に基づくということだけれども、どこまで本当なのか美術に関する知識のない私には分からない。しかし、それでも十分に楽しめる分かりやすさを…

冬姫

過去に衝撃を受けた蜩の記とは趣が異なり、戦国の女性を描いた一作。「女いくさ」という言葉を使って、内助の功と女性同士の勢力争いをきれいに表したような。ただ、主人公の強さが少し分かりにくい。純粋な心を持って余計な野心を持たないことは美しいかも…

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事

次から次へと健康法が出てくるけれど、いろいろと試して自分の体について考えることはとても楽しい。 シリコンバレー式は、朝は油とカフェインからスタートする(バターコーヒー)。そして、やたらとココナッツオイルを使うもの。運動も高負荷を低頻度、とな…

女子学生はなぜ就活で騙されるのか

タイトルのまま、女子学生の就職活動に関する親・学生の思い込みと失敗を集めた一冊。この書籍では女子学生が対象になっているけれど、男女に共通するところも多いと思った。 やってはいけない3つのこと:親子で就職活動 たとえば、日経就職ナビの上記の記…

江河の如く 孫子物語

毎作品、人物への愛情が深く感じられる作者による孫子伝。 ふんわりとした画風ながら、中国の土地のもつ空気というか雰囲気が漫画にも現れていて、リアリティをつい感じてしまう不思議なスタイル。内容としては、肝となる思想の部分に触れつつも孫子の兵法が…

異文化理解力

海外オフィスと仕事をすると、何かと驚くことばかり。これは何年やっていても。 わりと初期のショックは、アメリカ人がファーストネームで上司を呼ぶからといって、階層がないわけではなく、むしろアメリカ人の上下関係はある部分では日本人よりも厳しいと知…

50ヵ国語習得法

複数語をマスター、複数語がペラペラというと、「どのレベル?」という疑問が付き物。 著者は医師。さすがに、50カ国語で診察をできるレベルにできるということは想像がしがたいけれど、外国人を相手にするお医者さんであれば、最初の一言二言を相手の母語で…

BCGの特訓

賛否両論のインターン学生が名刺整理に不満を訴え逃走したという話があって、やはりその学生の言い分には分がないと思う一方で、「作業と仕事は違う」という一言くらいは最初に誰かが伝えなくてはいけないことなのだろうとも思う。 スタートアップや外資系で…

プラハの憂鬱

仕事柄、アメリカとアジア事情はそれなりに知識を蓄えつつあると自負しているものの、ヨーロッパについてはほとんど知らないことばかり。 この週末は佐藤優氏の語学研修生時代を振り返った二冊を読了。亡命東欧知識人に関する「プラハの憂鬱」と英国の階層社…

ボールルームへようこそ

冴えない主人公がスポーツに出会い、天賦の才能を見出され、良いコーチとライバルに恵まれ、才能を開花させる。王道のスポーツ漫画。作りはわかりやすいけれど、登場人物がそれぞれ魅力的であり、それぞれの立ち居地での葛藤が丁寧で引き込まれる。10月に発…

ワーク・シフト

今更ながら。 2025年という後から検証できる近未来の予測と、それに備えた個人の働き方についての再考を促す一冊。 紹介される3つのシフトは、既に起こりつつある変化でもある。 1.ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ 2.孤独な競争から「協力して起…

貨幣の鬼 勘定奉行 荻原重秀

学校の歴史で習う新井白石といえば、儒学の教えをまとめた学者であり、5代将軍綱吉の悪政により傾いた幕府の政治を儒教精神で改革する正徳の治を主導した立派な人物のように映るが、実際のところ正徳の治は抜本的な改革には至らず、次代の享保の改革に引き継…

賢者の愛

はじめて読んだ山田詠美の小説は「蝶々の纏足」で、そこでは自分が愛されることを当然の権利として疑わない少女と大人びた少女の歪んだ友情と反発が何とも美しく描かれていたことを思い出す。 「賢者の愛」は「痴人の愛」を下敷きにしているものの、影響力を…

キム・フィルビー かくも親密な裏切り

「かくも親密な裏切り」というサブタイトルが示す通り、本書ではキム・フィルビーというソ連のスパイであった英国人(英国でも諜報機関MI6に所属)の友情に多くの頁を割く。 長期間に渡ってだまされ続けた英国での同僚が彼を信じ続けた背景にある、英国にお…

愚者の皮

美しい妻が交通事故をきっかけに(さらにその後の医療事故により)、醜くなってしまう。その事実を受け入れられない夫と、傷つく妻。 夫は軽薄に容姿だけを求めていたというよりも、病的に醜いものを恐れていて、妻の変容はそれに気付かせ夫を苦しめる。妻は…

デザイナー

やっぱり傑作。来年で連載から40年。長く読まれ続ける作品はやっぱり違う。 トップモデルから交通事故で足を痛め、デザイナーとしての再起を図る主人公 亜美。この台詞にはしびれた。「私がなりたいのは常にトップよ。それ以外なら最低も同じだわ」 亜美の自…

錯覚の科学

原題は"The Invisible Gorilla"(見えないゴリラ)、こちらのビデオにある実験が元になっている。 あるタスクを与えられた被験者は、タスクをこなすことに注意しているため、ゴリラが登場したことに気がつかない。本書では、人の脳が陥りがちな錯覚の例がほ…

「Chikirinの日記」の育て方

著名人によるKDP(手作りな表紙がちょっとかわいい:Amazonの画像がなぜか表示されないのが残念)、読んでいて違和感は全くなく、電子書籍の出版は技術的にはそれほど面倒でもないのかなと思った。 それはさておき、内容もとても面白かった。個人の日記から…

バリスタ

ついに完結。 喫茶店を営む祖父に育てられ、出生にかかわりのあるイタリアで修行を積んだ主人公が日本に戻り、チェーン展開するバールで働きはじめる。その後、バリスタ大会や父との出会い、カフェとの決別、再始動、焙煎名人との出会いや大企業での経験など…

蜩ノ記

こんなに素晴らしい小説を、出版から2年も知らないまま過ごしていたことが悔やまれる。 主人公 檀野庄三郎は、不始末のため切腹となるところ、ある任務と引き替えになった。七年前に別な事件により「十年後の切腹」と「藩主の家譜編纂」を命じられた元郡奉行…

人に強くなる極意

メッセージはとてもシンプル、目次にあるとおり: 怒らない びびらない 飾らない 侮らない 断らない お金に振り回されない あきらめない 先送りしない それぞれ、具体的なエピソードと古今の叡智が紹介され、章ごとにお薦めの書籍も紹介される構成。 人に強…