onthemilkyroad.jp 3つの実話と多くの寓話に基づく、という隣国と戦争中のとある国が舞台のお話『オン・ザ・ミルキー・ロード(On the milky road)』。80年代の体操選手だったという主人公・コスタのフィアンセ?であるミレナの台詞や多国籍軍の介入など、…
食事について、メニューに季節感がないことを嘆く人は多く、私自身も反省することが多いけれど、器についてはもっと無関心な気がする。そんなことを思ってしまう、酒器十二か月の章。各月に本人所有の器の写真が紹介されていてとても素敵。生活を楽しむ、ぜ…
元キュレーターであり、絵画や画家をテーマにした小説も多い原田マハ氏による26枚の絵とそれにまつわる画家だったり時代だったりが紹介される、エッセイ的な一冊。有名な絵画は世界中で多くの人が詰めかけるので、なかなかじっくりと向き合える機会は得難い…
いつも黒い服を着ていて、シュバルツさんと呼ばれている大学院生の女の子が主人公。ドイツ文学の教授に恋をするも、年齢の差もあり相手にされない。でも、少しずつ距離を縮めるシュバルツさんに段々と心を動かされ、徐々に接し方が変わっていく教授。最初は…
あまり自己啓発書を読んで心動かされることはないのだけど、この本は久々に感動し、少しずつでも実践しようと思わせられた。 人脈は損得ではない、Give & Takeの総量は決まっていない、とにかく動くことが大切である、ということが具体的なエピソードととも…
多言語を学習し、教えている著者ならではの語学書書評集。そもそもの発想が面白い。白水社から出版された語学書の書評、古典となった語学書の書評など年代も各種。 著者が親しんだ言語以外でも、スキットに出てくるタイ人の青年の好青年ぶりなど、何か拾って…
新刊コーナーから何となく購入し、喫茶店で最初のエッセイを読んで一瞬後悔。著者の華麗なる一族ぶりと人脈が披露され、何のオチもなく、ただそれで終わる。まさか、一冊すべてこの調子ではないよね、と読み進め、トルコ旅行とトルコの親日ぶりにおける歴史…
短編集。ある短編の登場人物が次の短編の主人公になる構成。そして最後は、最初の短編の主人公のその後、という面白い構成。 シチュエーションは様々だけど、基本的にはコンプレックスや悩み・仕事の躓きといったものを主人公が克服していくもので、前向きな…
元住友銀行取締役まで上り詰め、その後楽天の副会長を女性関係の問題で退任というなんだかすごい経歴の著者(ゴーストが入っているとどこかのインタビューで言われていたけど)が、戦後最大の経済事件といわれる「イトマン事件」に関する行内のいざこざや政…
下田治美の小説『愛を乞う人』のコミカライズ版。 ただ理不尽に虐待される印象のあった小説版に比べると、母親が自分の置かれている状況に怒り落胆し、原因を子供においてしまったこと、という虐待に至る背景が描かれているように思う。原作の方が主人公の心…
40年間、大工として働き税金を納めてきた主人公のダニエル・ブレイクが心臓病になり、就労ができなくなる。福祉に頼ろうとするものの、健康状態による就労不可と認められず雇用手当に切り替えると今度は求職活動が求められる。働けない体なのに。 それだけで…
殿、利息でござる! 発売日: 2016/10/05 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログ (1件) を見る 貧しい宿場町を救うため、お上にお金を差し出し、利息で町を救おうとした商人・穀田屋十三郎とその仲間たち。映画『殿、利息でござる!』の原作でもあるけ…
長距離移動があったので、駅の書店に寄ってみたところ、林真理子フェア。ちょうど未読の文庫2冊を見つけ購入。 まず、びっくり。林真理子さんが還暦を迎えた時期のエッセイが、もう文庫本になっている。やっぱり最近の60代は元気。ananのエッセイと週刊文…
www.youtube.com 主人公がエキセントリックで完全に感情移入はできないものの、場面場面で共感して切ない気持ちになる映画。 『ベティ・ブルー』を引き合いに出して紹介されるだけあって、情熱的で、不安定な愛の物語。弁護士のトニーとレストランを経営する…
昨年、ヒットした映画「殿、利息でござる」の原作『無私の日本人』の作者による江戸の教育事情などを含む歴史雑学が詰まった一冊。古文書にあたり出典を明らかにしつつ分かりやすく読みやすい文章で書かれているので、安心して読めるし、仕入れた情報は思わ…
最近、進められて読み始めたら止まらず一気に読んでしまった。 美濃の蝮 斎藤道三が油売りから一国を手中におさめ、娘の嫁ぎ先である織田信長が天下を取り、娘のいとこにあたる明智光秀が謀反を起こし3日天下の後に敗れるまで。 近年の研究で、油売りから国…
特許・知財の戦略について少し勉強。 特許を取るということは、技術が公になるということ(特許公報はすべて見えてしまう)。そして、アイディアに国境はないけれど、特許には国境があるということで、日本で特許をとっても世界で権利が守られるわけではない…
展開が予想外過ぎて一気に読んでしまった。しかし、世の中には伏線を回収できない漫画が大量にある中、本書にはほとんど伏線がないように見受けられ、驚く。だからこその自由な展開なのだろうか。 前半は、町一番のおこんじょう(土地の言葉で意地悪)を母に…
エリート層の支配力の低下と言われる直近の米国大統領選挙。どうも、エリート主義への反発といった単純なものではなく、高所得者に対する増税による富の再配分を謳ったクリントン氏よりも、勤労機会の増加を謳ったトランプ氏が魅力的だったという点もあるら…
世の中が残業規制、労働時間短縮に向かう以上、同じ成果を出そうと思ったら生産性の向上は必須。とはいえ、ホワイトカラーは『思考時間の必要性』を言い訳に生産性の議論を避けようとする人も多い。でも、そこで思考停止せずに分業やパターン化による効率化…
大手メーカーにて特許に関わり続けてきた弁理士による、意外な特許に関する話や特許に関するトラブル・係争などの紹介。長年、稲森謙太郎の筆名で科学技術ジャーナリストをされてきたということで、文章は読みやすく、面白いけれど取っ付きにくい知財につい…
映画も良かったけれど、遅ればせながら読んだ原作は更に素晴らしい。個人的な感じ方だけど、映画を観てから原作を読むとどちらも好印象を受け、原作を読んでから映画を観てしまうとついケチをつけてしまう。不思議。でも、これは原作から入っても映画を楽し…
身近だけど、実は詳しく知らない神社とその中で奉職している人のこと。本書は、埼玉県の三峯神社の神主さんへの取材によって、お参りの仕方や神主(神職)の身分・職階や教育・研修などが紹介されている。ただ、一つ一つのネタに対して割いているページ数が…
子供のころに読んで印象に残っていた『鳥にさらわれた娘』と『あるジャム屋の話』。何となくもう一度読みたくなってキーワード検索したらあっさりと見つかり、読むことができて嬉しかった。一緒に収録されているほかの物語もとても素敵だった。 この『恋人た…
欧州的な思考を理解するには必要な知識、教養とは言われるものの、いきなり手を付けると前提として要求される知識、教養も生半可でない超大作である『神曲』。少し仕事に余裕ができてきたので少しずつ読もうかなと思うけれど、難解な部分も多いので、まずは…
当初はメンタルを病んだ女性が魅力的に見える、のような話かと思っていたら、似たような話も登場するもののほんの一部。どちらかというと、美人でない女性から発せられるフェロモンに関することが中心。 市原悦子には劣情をもよおしても泉ピン子にはない、と…
人間は必ずしも合理的ではない。効用というのも不思議なもので、効用が本人にとって高いから価格が高くても買うことがあるといっても、効用は測れない。たとえば、リンゴとミカンのどちらを買うか、予算的にどちらかしか買えない場合を除いては、価格でなく…
eichmann-vs-bauer.com 本作は、第二次世界大戦後の戦争犯罪者に関する捜査を主導する検事長フリッツ・バウアーがスポットライトを浴びる。正義のため、信念のため、捜査を止めようとする組織に屈することなく身柄を確保し、裁判を行うために動き続ける。単…
当たり前のことをやる、この大切さ。よくPEファンドの人たちと話すと出てくるのが、技術力はあるのに、営業面で当たり前のことができない会社が多いということ。依頼に対して、信頼や実績がないうちは速さで勝負するのもひとつ。市場価格を前提に価格を下げ…
私個人も児童養護施設に暮らす子どもへの支援ボランティアに参加しているので、とても関心の高い領域ではあるけれど、児童相談所については考えたことがなかったので衝撃を受けた。児童養護施設で暮らす子どもは、将来施設の職員になりたいと言う子が多くい…